若手研究者助成金 執行報告


石上 阿希

立命館大学 衣笠総合研究機構 

助成年度: 2013年度通年募集(申請番号: 2013WYYR05)

執行期間: 2013年09月15日から2013年10月12日まで

助成執行概要とその効果: 
本出張では以下の研究活動を行った。

(1)大英博物館で2013年10月3日から2014年1月5日まで開催される特別展「Shunga: sex and pleasure in Japanese art」の開催準備。9月16日から10月3日のオープンまで、日本から到着した資料のコンディションレポートや、展覧会場の設営手伝いなどを行った。また、イギリス国内外のメディアへの取材対応などの広報活動も行った。

(2)10月4、5日開催の国際シンポジウム「Sex art in Japan: perspectives on shunga」(於:大英博物館)での発表「What does shunga offer women today?」。

(3)10月9日にThe Daiwa Anglo-Japanese Foundation主催のTalk「The Daiwa Anglo-Japanese Foundation」でのグループ発表(Timothy Clark, Prof. C. Andrew Gerstle, Dr. Akiko Yano)。

申請書記載の計画・目標に対する進捗状況: 
大英博物館での春画展は、2009年より始まった「春画プロジェクト」の研究成果が結実したものである。
 本プロジェクトは、大英博物館、ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)、国際日本文化研究センター、立命館大学アート・リサーチセンターの共同研究として進められたものである。春画や春本を美術作品として、あるいは文学作品として捉えるだけでなく、社会史・文化史を研究する上で重要な資料として捉え、多角的な分析を行うことを研究目的として、これまでに国際シンポジウムや研究会、立命館ARCでの春画展の開催などを行ってきた。
 その成果を大英での展覧会として一般発信するとともに、展覧会図録『Shunga: sex and pleasure in Japanese art』(Timothy Clark, C.Andrew Gerstle, Akiko Yano, Aki Ishigami, ed., The Birithsh Museum Press, Oct. 2013)、『Japan Review』春画特集号(C.Andrew Gerstle, TImothy Clark, ed., The International Research Center for Japanese Studies, Kyoto, Sept.2013)として刊行した。
 展覧会では、春画の名品を展示することに加え、検閲の問題やその流通と用途、パロディ、吉原と歌舞伎との関連性、近代以降の受容と西洋に与えた影響などの問題について取り上げた。
 展覧会については、オープン前からイギリス国内のメディアに取り上げられ、概ね好評を得ている。来場者も多く、2009年より始まった春画プロジェクトの研究成果を一般に公開することができた。

指導教員: 細井 浩一 / 立命館大学 教授