若手研究者助成金 執行報告


楠井 清文

立命館大学 衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー

執行期間: 2009年08月06日から2009年08月20日まで

助成執行概要とその効果: 
今回の海外研究活動は、グローバルCOE日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点の<「外地」日本語文学DBプロジェクト>に関する資料調査が目的である。具体的には「戦前期韓国(1910-0945)における日本人の文学活動」というテーマで、(1)韓国で出版された文学書・文学雑誌(2)雑誌新聞の文芸記事・文芸欄(3)日本語書籍の流通と所蔵について資料の所蔵調査を行った。日程は2009年8月6日~20日、調査対象は6~12日高麗大学校日本研究センターを拠点として韓国で刊行された資料の所蔵調査を行い、その後各機関に赴き現物調査・収集を行った。また同センターで作成した勧告関連文献所在調査リストを閲覧し、調査の参考に役立てることが出来た。

申請書記載の計画・目標に対する進捗状況: 
今回の調査では、上記のように高麗大学校日本研究センターの多大な協力を得た。特に同校の図書館・ネットワークを使用することで、事前に資料をリストアップし、閲覧しに行くという効率的な調査を進めることが出来た。また、当初予定していた国史編纂委員会について、近現代史の資料収集が中心であるため文学関連の資料は少ないという助言も得て、調査対象機関の絞込みでも参考になった。申請書では今回目標とする成果として、(1)国内所蔵資料ではかけていた文献の発見(2)韓国の日本語文学を研究する諸拠点との交流、の二点を挙げていたが、今回の研究では2つとも達成された。(1)については、期間が限られているため予定していた資料の全ての調査をすることが出来ず、主に詩歌関連の文学書に限定したが、それでも国内に所蔵のないぶんけんを発見することが出来た。また韓国国立中央図書館の旧朝鮮総督府図書館の蔵書・分類を継承し、それが現在のDB構築にも影響している点も、既に選考研究の指摘があるとはいえ、実際の調査で具体的に把握できた。次に(2)については、実際に日本研究センターのプロジェクトリーダーであるジョン・ビョンホ(鄭炳浩)先生、土台研究担当のキム・テヒュン(金泰賢)先生らのお話を伺い、調査結果を閲覧することが出来た。両氏共に本拠店との共同県有に積極的であり、今回の訪問が交流を進める契機となった。

指導教員: 木村 一信 / 立命館大学 教授