若手研究者助成金 執行報告


倉橋 正恵

立命館大学 衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー

執行期間: 2009年08月29日から2009年10月05日まで

助成執行概要とその効果: 
ITP派遣(2009年6月28日~8月27日)による派遣と、本助成金による研究活動助成(2009年8月28日~10月5日)を受けて、2009年6月29日から10月2日までの三ヶ月間、ボストン美術館(アメリカ合衆国)において同館所蔵の浮世絵絵画版作品のうち、初代歌川国貞作品を中心とした浮世絵版画作品の研究調査、及び浮世絵作品のデータベースを作成した。さらに、浮世絵版画作品から出版社を示す版元印の作例を採取し、浮世絵版画の基礎研究を行った。

申請書記載の計画・目標に対する進捗状況: 
歌舞伎興行と浮世絵版画製作の関係性を検証するため、申請者はボストン美術館所蔵浮世絵版画の研究調査を2005年より継続的に行っており、初代歌川国貞浮世絵版画作品を中心に、既に5000枚分の浮世絵版画データを蓄積している。今回の研究調査では、目標としていた残りの初代国貞浮世絵版画作品(約3000)の浮世絵版画の調査を終了し、作品のデータベースを作成した。今回作成したデータベースはこれまでに調査した約5000枚分の調査データと統合して、立命館大学ARCにおいて運用されている大規模浮世絵データベースに組み込まれ、申請者以外の研究者以外にも研究利用される。
これと平行して、本調査研究によるデータは、ボストン美術館内で運用されているデータベース(The Museum System)にも移行される。同館では約50000点の浮世絵版画を所蔵しているが、申請者が研究調査した約8000枚にもおよぶ調査データが一人の研究者によってもたらされた事はこれまで無く、同館と申請者の信頼関係がよりいっそう強固なものとなった。この事により、同館と立命館大学GCOEの今後の提携関係にも良い影響を与えることが出来たと考えられる。

指導教員: 赤間 亮 / 立命館大学 教授