元禄忠臣蔵

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げんろくちゅうしんぐら


歌舞伎

真山青果作。昭和9年より昭和16年まで七年にわたって書いた全十篇二十幕に及ぶ大作。二世市川左団次一座、前進座が連続上演して好評を博した。 「江戸城の刃傷」にはじまり、赤穂での混乱から大石内蔵之助の沈着、仇討決定をえがく「第二の使者」「最後の大評定」、大石の遊興「伏見撞木町」、徳川綱豊卿(六代将軍家宣)と富森助右衛門とのエピソード、「御浜御殿綱豊卿」、逢泉院への大石の暇乞、「南部坂雪の別れ」とつづき、討入後の「吉良家裏門」「泉岳寺の一日」「仙石屋敷」を経て、「大石最後の一日」の義士切腹に終る。江戸時代史の研究家でもあった作者の独自の義士観と、作風の特色である緻密な心理描写によって、私闘として死んだ主君の復讐を企てる者として、社会に正しく行動しようとする大石以下の苦悩が鮮明に描かれている。忠臣蔵戯曲の一紀元を劃する傑作であり、また新歌舞伎脚本中での代表作でもある。