高津聖詠

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こうづせいえい


画題

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解説

画題辞典

高津聖詠は仁徳天皇の御聖徳をいうなり。天皇位に即き、難波に都す、之を高津宮という。その四年、高台に登つて遠望するに、域中炊煙甚だ疎なり、即ち百姓の窺乏せるを察し、三年の間課役を免じ、用度を節し、宮垣頽るゝも造らず、已にして三年の後、天皇再び高台に登りて遠望するに、炊煙盛に起る、天皇大に喜んで曰く、朕大に富めりと皇后傍に在りて曰く、今や宮室朽敗し暴露を免れず、何を以て富めりとするやと、天皇曰く、君は百姓を以て本となす、今百姓富む、即ち朕が富めるなりと、御歌あり「たかきやにのぼりて見れば煙立つ民の寵は賑ひにけり」、百姓伝え聞きて感激す、是れ世にいう高津聖詠なり。此歌を御製なりとすることに就きては、史家の間に議ありと雖も、古来一般に伝称されたることにて亦歴史画の好画題とし描かるゝもの甚だ多し。

酒井抱一の作(武蔵大澤氏所蔵)、岡田為恭の筆(長野菊屋氏所蔵)等あり、近くは菊池容斎、松本楓湖画く所多し。

(『画題辞典』斎藤隆三)