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つり


画題

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解説

東洋画題綜覧

河海湖沼等に綸を垂れて魚を釣ること、それは多く網を用ひることの出来ぬ深海や、岩礁などの多い場所、潮流や水勢の急な場所で行ふもので、普通の竿釣は極めて簡単であるが、その技術は熟練を要するものがある、此の漁法は遠く神代の昔から行はれ来つたもので、古事記や書紀にも櫛八玉神や彦火火出見命の釣のことが見えている。又後になつて神功皇后の玉島川に鮎を釣らせ給ふたことも史に見えてゐるし、平安朝時代には公卿殿上人の間にも盛にこれが行はれてゐたことが知られるし、その一として建築の上に釣殿といふ一の型まで出来ている、支那でも唐宋の頃、士大夫の間にこれが行はれたこと詩文に散見する処であるし、太公望が釣魚の図は好箇の画題となつてゐる、唯に水辺に竿を手にし綸を垂れている所、美しい山水を背景として立派な画材であるのみならず、遠く沖へ乗り出して漁夫が総出で活躍する鰹釣の如き、また近頃盛に画材となつてゐる。

釣の絵として最も有名なのは、馬遠筆『寒江独釣』で、井上侯爵家旧蔵の名品、朱端にも同一の題で名作があり太公望の垂綸は狩野派の人々など好んで之を画き、光琳にも傑作がある。

小村大雲筆  『釣日和』   第六回文展出品

川合玉堂筆  『岩魚釣』   第三回帝展出品

笠松紫浪筆  『鰹漁』    第五回海洋美術展出品

町田曲江筆  『晩晴漁竿』  第十五回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)