章魚

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たこ


画題

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解説

東洋画題綜覧

章魚、蛸、海蛸子、紅挙、八帯などの異名があり、タコは手子の転といふ軟体動物中管足類に属し、たこ科といふ一科を為す胴体円く俗に脚と呼ばれてゐる触幹があり、これには二列に多くの吸盤があり、雄は第三脚の先が溝となつて生殖器となつて居る、平素淡水の注ぎ込む五六尋から四五十尋の近海岩礁の間に棲息し、昼の間は岩の隙などに潜み、夜になると盛に活躍をはじめ、その脚を自由自在に働かせて小さい魚や甲殻類などの小動物を捕へて食べる、そして若し敵の襲来にあふと、忽ち烏賊のやうに墨汁を出して海水を濁し姿を晦ます、七八月頃産卵す、卵は葡萄の房のやうである、種類には真章魚、飯章魚、手長章魚、水章魚などがある。

章魚を捕るには蛸壷を用ひる、壷を二つ三つ縄にまとひ、水中に投じて置くと、章魚は自からこれに入る、無理に出さうとしても中々出ないが、壷の底を搔くと出て来るといふ。

章魚の絵に画かれたものに左の諸点がある。

伊藤若冲筆   花鳥三十幅中魚貝   帝室御物

田能村竹田筆  『蓬窓幽興帖』の中

北尾重政筆   『蛸の額』      目黒蛸薬師蔵

川村曼舟筆   『移る潮』      第七回帝展出品

水上泰生筆   『章魚』       個人展覧会出品

なほ蛸壷を画いたものに左の作がある。

山本天洋筆   『蛸壷』       第九回帝展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)