磯遊び

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いそあそび


画題

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解説

東洋画題綜覧

野遊び山遊びといふが如く、潮の退いた磯辺に遊ぶ春の行楽をいふ、広くいへば潮干狩のうちに包含されてもいゝものであるが、その間多少の相違がある、実際、砂浜のない断崖続きの南紀沿岸などの磯遊びの趣といふものは、品川や大森、堺、住吉などの遠浅の海で貝拾ひをする一般の潮干とは大分違つたものである、紀州の磯遊びは鹿尾菜や岩海苔の口開き頃から始まり旧の三月三日の大潮前後において最も盛に行はれる、一家打ち連立つたり、近所を大勢誘ひ合せたりして、おむすびや酢の弁当を携へるのもあれば、或は鍋釜だの醤油だのを提げて行き岩窪に竃を築き潮木を焚つゝ獲物の魚介を調理して楽しむといふやうな連中もある、行先は附近でも形勝とせられてゐる何岬とか何島とかいふやうな、一日がゝり位の場所を選び単に潮干の獲物をあさるといふよりも久しぶりで一日の気晴らし遊山をするといふ気分が多分に含まれてゐる、磯遊びの獲物、即ち磯ものゝ重なものは、五色石とか珊瑚の片とか、海松、海百合、菊目石その他珍らしい貝殻の類、海ほうづきの類、それから食べられるものでは、流れよつた若布、岩海苔、あをさ、岩についた貝類などである。  (俳諧歳時記 春)

海人の子の黒さや春の磯遊び  可白

磯遊びを画題としたものでは、歌川豊国に田舎源氏の世界を描いた『光氏磯遊び』が数点ある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)