猫
ねこ
画題
画像(Open)
解説
画題辞典
猫を画けるもの、
古くは默庵筆の猫(佐竹侯爵旧蔵)あり、
近くは橋本雅邦筆竹下猫児(東京帝室博物館所蔵)、
菱田春草筆黒き猫(第六回文展)あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
猫は猫科に属する愛翫動物として世界的に飼養せられてゐる、欧洲産の家猫は元亜弗利加山猫より人為的に生じたものとの説多く、而して亜細亜産の家猫は之れと同一系統ではなく印度地方の種々な山猫から変化した品種であらうとの説がある、本邦産の猫は大の如く種々の目的に使用されてゐないので構成的相違ある品種を分つことが出来ない、殆んど一様である、品種として知らるゝものは欧洲種の外、アンゴラ種、サイアム種、マレイ種、無尾種、パラグエー種等を算へる、我国産は大陸から移入せられた無尾品種を普通とし、屡々長尾のものあり、色は自、黒、三毛を普通とし、俗に鯖猫、雉猫、虎猫等の色彩及び斑紋相違のものがあり、鼠類捕獲には必要の家畜である。 (日本動物図鑑)
日本に猫が何時頃渡来したか、巷間の説では人皇六十六代一条天皇の御宇高麗より経文仏具と共に一番ひの猫を将来したのをはじめとするやう伝へられてゐる、これは小右記あたりから出てゐるのであらう。 (芸術資料猫)
猫は花鳥画の好画題として古来描かるゝもの極めて多く、狩野一渓の『後素集』にも左の画題を挙げてゐる。
牡丹猫雀図、牡丹睡猫図、菜苗戯猫図、猫竹図、薄荷酔猫図、芍薬戯猫図、萱草戯猫図、石榴戯猫図、山石戯猫図、酔猫図、竹石戯猫図、芙蓉睡猫図。
なほ猫の名作を挙げれば左の作がある。
黙庵筆 『猫図』 佐竹侯爵家旧蔵
沈南蘋筆 『蜀葵猫児図』 岩崎男爵家蔵
銭舜挙筆 『猫捕鳥図』 笹川鹿堂氏蔵
渡辺崋山筆 『睡猫驚雀図』 菊池惺堂氏旧蔵
小栗宗丹筆 『枇杷猫図』 神戸田村氏旧蔵
伝山楽筆 『杉戸猫』(国宝) 京都天球院蔵
円山応挙筆 『睡猫図』 京都采野為吉氏蔵
菱田春草筆 『黒猫』 第一回文展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)