波涛

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なみ


画題

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解説

東洋画題綜覧

波涛は水面に吹きつける風の圧力の為めに水の分子が起す運動のそれで、風の弱い時には小波を生じ、強い時には大浪を起す、涛といひ、浪といひ、波といひ、漣漪といふ、その大小強弱によつて使はれる文字も違ひ、名称も異る、その名称も極めて多い。

さざらなみ(さざれなみとも、いさゝなみ)、いさなみ(いさなみのこゝろくだけてと云へり)となみ、うはなみ(浅瀬に立つなり)うつなみ、よるなみ(なみのよるとも)きよする波(よりくるなり)かへるなみ、かへなみ、あとなみ、ひるなみ、ゆくなみ、かたゆくなみ、あだなみ、辺なみ(船のへ也)いほへなみ(五百重波)千重波、しきなみ、しくなみ、青波、白波しらゆふ波、花のしら波、(只花の波といへり)なみの花、あさせ白なみ、五色のなみ(しかのうらに云へり)夕波、ほなみ(田)あしへ波、あしのとなみ、あしの下波、山下なみ、浦なみ、河波、天河波、浜波、池波、石なみ、やなせのなみ、水底の波、荒波、荒磯の波、あらたの波、なみこし(なみのことにはあらず、垣こす波なり)こす波、ゐこす波、波よりをち、沖波、沖津波、沖津しら波  (藻汐草)

この外に装飾画としての波の型に青海波や観世波などもある。

波涛の名画は古来枚挙に遑もない、有名なものを挙げる。

伝呉道子筆   『山水双幅』の波  京都高桐院蔵

芸阿弥筆    『瀑山水』の波   松本双軒庵旧蔵

伝狩野元信筆  『巌浪襖絵』    京都禅林寺蔵

狩野山楽筆   『梅花遊禽』の波  京都天珠院蔵

俵屋宗達筆   『澪漂』の波    岩崎男爵家蔵

狩野探幽筆   『月波』      近江浅田家旧蔵

雪村筆     『岸波』      秋元子爵家旧蔵

円山応挙筆   『波涛』廿八幅   京都金剛寺蔵

川合玉堂筆   『波』屏風

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)