椿

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つばき


画題

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解説

東洋画題綜覧

椿、漢名海石榴、山茶、『つばき』は光沢葉樹の転、此の樹の葉の光沢美しい処から此の名があり、椿は日本で拵らへた文字で、荘子の大椿とは全然違ふ、我が国では普通に見らるゝ常緑の喬木で、海石榴科に属し、春三月頃紅色の美花を開き、中に雄蕊と雌蕊があり雄蕊はその基部が連つて先が別れている、俗に茶筅蕊と呼ばれている、葉は互生で托葉なく、幹は灰緑色でやゝ滑かである、普通種を山椿又は薮椿と呼ぶが、五弁若しくは六弁で、単弁も重弁もあり、色も紅、白、絞、淡紅いろ/\あり、乙女椿、佗介、白玉椿、大神楽など聞えている、大伴家持が八峰の椿を栽えたる事は有名であり、日本では又、徳川時代に非常な流行を見、元和から寛永あたりまで絶頂で、東西から『百椿図』が出版されたやうな有様である。支那では此の花を『四逸』の一に加へ、また『四季花』の一として春の花の代表としている。

奥山の八つ峰のつばきつばらかにけふは暮らさね丈夫のとも  大伴家持

巨勢山のつら/\椿つら/\にみつゝ思ふな許端の春野を   坂門人足

椿はかうして春の代表花の一として挙げられてゐるだけに作例も極めて多い。

尾形光琳筆  『椿屏風』    京都仁和寺蔵

沈南蘋筆   『椿梅雀図』   紀州徳川家旧蔵

曽我直庵筆  『花鳥屏風』   東京帝室博物館蔵

呂紀筆    『四季花鳥図』  島津公爵家旧蔵

周之冕筆   『花鳥図』    大村純英氏蔵

土田麦僊筆  『春禽珍晴図』  第十一回文展出品

速水御舟筆  『名樹散椿図』  第十六回院展出品

村上華岳筆  『椿』      個人展覧会出品

中村岳陵筆  『淡雪』(椿鵯) 昭和四年院試作展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)