栄花物語

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えいがものがたり


画題

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解説

画題辞典

榮花物語、一に世継物語ともいう。藤原為業の撰と伝ふ、藤原時代の仮名文物語なれども、架空の小説にあらずして歴史事実の物語なり、第一段月宴巻、村上天皇の御代に始まりて、第三十段鶴林巻、後一条天皇の万寿五年に終る。その間の御代の事を記すれども、就中御堂関白道長卿の榮華の有様を主として巨細に記されたるものなり。関白薨去の有様より、薨後浄妙寺観音供養に及びて終る。榮華物語の名のある所以実に茲にあり、此物語を画材として執筆せるもの、

古くは藤原信実の筆に成る絵巻(一巻は蜂須賀侯爵所蔵、一巻は秋元子爵家旧蔵)、天下の優品として其名高し。近くは第一回の院展に安田靭彦の画きし「御産の祷」なども題材を之に得たるものなり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

栄花物語、一に世継物語ともいふ、藤原為業の撰といふ、為業は為忠の子で法名を寂然といひ崇徳院の御世の頃の人、又抄出本の目録には赤染衛門の作とあるが当らず、栄花物語と名づけられたのは、『つぼみの巻』に『東宮の生れたまへりしを、殿の御前の初孫にて栄花の初花と聞えたるに』云々、第一段の『月の宴』の村上天皇の御世からはじめて、第三十段鶴林の巻まで、藤原道長の栄華を主として編年的に堀河天皇の寛治年間に及んでゐる、その間に於ける帝室外戚等の上流の事跡を詳記したもので、『源氏物語』のやうな架空の小説ではない、殊に冠婚葬祭、行楽娯楽などのことは細かに記されてゐるので、風俗研究の上からも重要な位置を占め、御堂関白の生涯を中心としてゐる丈けに、いろ/\と画かれてゐるが、殊に左の諸作が有名である。

国宝栄花物語絵巻(詞書良経卿)   蜂須賀侯爵家旧蔵

藤原信実筆            秋元子爵家旧蔵

伝光時筆   『駒競行幸絵詞』  岩崎男爵家蔵

安田靫彦筆  『御産の祷』    第一回院展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)