徒然草
つれづれぐさ
画題
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解説
画題辞典
徒然草は吉田兼好法師が随筆なり、その文は優雅にして瓢逸、又豪宕の趣あり、和漢の事跡逸話より、社会万般のことに亙り、何くれとなく記載し、仏理を主として論評し、孔孟の教より老荘の所説をも参酌せるなど、論旨甚だ幽玄なるものあり、その所記を絵巻として描けるもの、
住吉具慶及如慶の筆あり、その一部東京帝室博物館に蔵す、水戸徳川侯爵旧蔵に筆者不明絵巷十巷あり、本書の部分等を図したるもの亦少なしとせず。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
吉田兼好法師が書いた二巻の随筆で、吉野朝の初、建武二三年の中に書かれたものであらうといふ、文章は簡明にして玲瓏、優美にして時に奇警、鎌倉室町四百年を通じての美文の中に、当時の俗語を交へ譜謔を加へ、常人の修養に資すべき教訓や、和漢の故事や逸話まで面白く織込まれてゐるので、随所に画題となるところがある。巻頭の一二節を引く
つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向ひて心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
いでや、この世に生れては、願はしかるべきことこそ多かめれ、みかどの御位は、いともかしこし、竹の園生の末葉まで、人間の種ならぬぞやんごとなき、一の人の御有様は更なり、たゞ人も舎人などたまはる際はゆゆしと見ゆ、その子うまごまでは、はふれたれど、なほなまめかし、それより下つかたは、ほどにつけつつ、時にあひ、したりがほなるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。
徒然草を題材としたものに左の諸作がある。
住吉具慶如慶合作 帝室博物館蔵
筆者不詳 絵巻十巻 水戸徳川家蔵
月渓筆 福田山王荘旧蔵
蕪村筆 (神無月の頃) 小泉三申氏旧蔵
吉川霊華筆 吉田包春氏蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)