天人

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てんにん


画題

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解説

画題辞典

天人は仏画なり、仏教に於て欲界の六欲天に住す、半裸体に天衣を纏ひ天界に飛翔すとなり、其の将さに命を終らんとするに際し五相の衰相を表はす、因て絵画としては五衰相を表すを天人描写の通則とす、而して多くはその歌舞の状を画くを例となす、古くは彫刻の題材たれども、絵画としても優秀のもの少なからず、

大和法隆寺天蓋の書は推古時代の名作たり、京都市外日野法界寺阿弥陀堂の壁画は藤原時代の優品と推すべし。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

仏教では天界に住む衆生をいひ、普通にはその中の天女をさして天人と呼んでいる、天に住んでゐるので此の名があるのであるが、殊に欲、色、無色の三界中欲界の六欲天に住するものに名づけられてゐる、此の天に住するものは、人間に勝れて善を修し、欲界定を得て妙境界を受くと雖も未だ淫欲、食欲、睡欲を離れぬので命の終りに臨んで五種の衰相を現はすといふ、これを五衰といふ。

五衰に大小あり、大の五衰とは一に衣服穢れ、二に頭上の花萎み、三に腋下汗流れ、四に身体悪臭を放ち、五に本座を楽まず、小の五衰とは一に楽声起らず、二に身光滅し、三に浴水身に着き、四に境に著して捨てず、五に眼目屡々瞬く、卸ち天人の果報滅尽する相を現はすものであると。

天人を画いたもの極めて多いが、法隆寺の天蓋の天人は有名であり、絵画では京都日野法界寺の壁画が聞えてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)