十二衆天

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じゅうにしゅうてん


画題

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解説

画題辞典

十二衆天又略して十二天ともいう、仏教にて四方四維上下日月の十二位の護世天部にて一切の天龍、鬼神星宿冥官を総摂す、帝釈天、火天、焔魔天、羅刹天、水天、風天、毘沙門天、伊舎那天、梵天、地天、日天、月天、の十二衆なり、外道悪魔を慴伏し仏法擁護を任となす、何れも本よリ純信仰画として画かれたるものなり。尚各天に就きては、各其の条を見るべし。

十二衆天を画きしものゝ最も優秀なるもの、奈良西大寺に十二幅あり、平安朝初期の逸品なり、其の他、国宝に指定されたるもの左の如し。

京都教王護国寺所蔵十二天屏風(宅磨勝賀筆)、同寺所蔵十二天十二幅(筆者不明)、山城廣隆寺所蔵十二天十二幅(筆者不明)、山城神護寺所蔵十二天十二幅(同)、近江来迎寺所蔵十二天十二帽(伝高階隆兼筆)、近江西教寺所蔵十二天十二幅(同)、津市大宝院所蔵十二天十二幅(同)、備後長福寺所蔵十二天十二幅(同)東京帝室博物館にも六幅あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

十二衆天とは、一に帝釈天、白象に乗り五色の彩雲中に住し、黄金身にして右手に三鈷を持ち心に当て、左手は胯に託し、左脚は垂下す、二に火天は青羊に乗じ、身色深赤、鬢髪皓白、苦行仙の形を成して火焔中にあり、右ニ手の中、一は青竹を持ち、一は軍持を持つ、左ニ手の中、一は掌を揚げ、一は念珠を持つ、三に焔魔天は、水牛に乗り、右手に人頭の幢を執り、右手は仰掌す、四に羅刹天は白獅子に乗り、身に甲冑を着け、右手に刀を持して之を立て、左手は大指を以て中小二指を押ふ、五に水天は亀に乗り水中に住し、浅緑色、右手に刀を執り左手に羂索を持つ、戴く所の冠の上に五竜あり、六に風天は、麞に乗つて雲中にあり、鬢髪皆白の老人で、甲冑を著し、左手は胯に託し、右手に一古槍を執る、槍上に緋幡あり、七に毘沙門天はニ鬼の上に坐し、金色にして甲冑を被り、冠を着く、左手には掌に宝塔をうけ、右手に宝棒を執る、八に伊舎那天は、黄色の豊牛に乗り、左手は肘を開き、掌を仰いで杯器を持し、右手に三叉の槍を持つ、青色、赤髪、三目の忿怒身で、髑髏を以て瓔珞とする、九に梵天は四面で三目四臂を有す、右手の一は掌を仰けて垂れ指端右に向ひ、其二は豎肘鉾を執り、左手の一は豎拳蓮花を執り、其二は下向して掌を前に向け澡瓶を持す、十に地天は、身は白肉色、右手はかがめて心に当て、掌を外に向け、右左は豎肘して宝瓶を捧持し、瓶中に水陸諸種の花を盛る、十一に日天は五匹の赤馬に騎り左手を心に当て、日輪を持し、天衣を被る、十二に月天は三鵞に乗り、右手を腰側に当て左手胸に当り月を持す、赤髪にして天衣を被る。  (仏教辞林)

十二衆天は略して十二天とも呼ばれ、何れも外道悪魔を慴伏せしめ仏法擁護を以て任とする、これが為め仏画として画かるるもの多い。重なるものを掲げる。

伝弘法大師筆  十二幅(国宝)   奈良西大寺蔵

宅磨勝賀筆   十二天屏風     京都教王護国寺蔵

筆者不明    同    十二幅  同寺蔵

筆者不明    十二天十二幅    京都太秦広隆寺蔵

同                 山城神護寺蔵

伝高階隆兼筆  同  十二幅    近江来迎寺蔵

長谷川信春筆  三幅対(重美)   加賀正覚院蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)