泰山府君

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たいざんふくん


画題

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解説

東洋画題綜覧

支那泰山の神で、人の生死を掌るといふ迷信が戦国時代から伝はつてゐる。蓋し泰山は東に在つて東は物の生ずる所だからである、因て人が死ぬと魂は泰山に到るとなし、遂に泰山の神を以て人の生死福禄を支配するとしたのである。なほ泰山府君は更に仏教にも混入され密教では胎蔵界曼荼羅外金剛部院の南方に位する天部に附会してゐる。これを画いた作

吉川霊華筆  『泰山府君』  鈴木新吉氏蔵

また謡曲にも『泰山府君』がある、桜町中納言が桜の花の散り易いのを惜み、泰山府君を祀つて花の命を延さんことを祈る。時に天女下つて花の一枝天上に持帰らうとするが、花守る男が終夜眠らず花を守り、また月も皎々と照つてゐるので折ることも出来ず、漸く月のかくれたのを機に一枝を持帰ると、そこに泰山府君が現はれ花の命を延ばさん願はさること乍ら、天人の花を折るは何事ぞ、清かるべき天上界に偸盗の罪を犯すは何事ぞといふ、やがて天人は折つた枝を返しに来る。花は泰山府君の力でもとの枝に返り、花の命は三七日まで延びるといふ筋、前シテは天人、後シテは泰山府君、ワキは男、所は山城である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)