木賊

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とくさ


画題

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解説

東洋画題綜覧

『とくさ』は砥草の義、木賊科といふ一科を為し丈は二尺位となり、一所から多くの茎を出すが、葉はなく、節々の黒色の袴は即ち葉の退化したものである、姫木賊、水木賊などがあり、庭に植ゑて面白く、の絵によく配せらる、これは兎が歯を磨くといふ寓意である。四条派の人々など、好んで描くところ、作例も極めて多い。

また謡曲の番名、みすず苅る信濃の国に木賊を苅つて世を渡る翁があり、年久しく家出して行衛のわからぬ我が子を尋ぬる中、図らずもめぐりあひ両人とも仏門に入るといふ筋で、シテは翁、ツは里人、ワキ僧、子方松若、所は信濃である。一節を引く。

「露もいとなし、草莚、露を片敷く朝な朝な、出づるや牧畜の野人ならまし、いざ/\木賊からうよ「刈るや木賊の言の葉はいづれの詠めなるらん、「木賊かる、園原山の木の間よりみがかれ出づる秋の夜の、月夜をもいざ刈らうよ、「影も仮なる草の原、露分衣しほたれて、刈れや/\花草、「木賊刈る、木曽の麻衣袖ぬれて、みがかぬ露の玉ぞ散る「散るや霰のたま/\も、心のみだれ知るならば、「胸なる月は曇らじ、「実に誠何よりも、磨くは真如の玉ぞかし、思へば木賊のみか、われもまた木賊のみをたゞ思へ、我心、みがけやみがけ身の為めに、木賊刈りて取らうよ、木賊刈りて取らうよ。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)