丑時参

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うしのときまいり


画題

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解説

画題辞典

婦人の白衣して髪を散らし、頭上には三本又五本の蝋燭を立て、胸には鏡を吊り、一本歯の高履を穿ちて、深夜神社の森の古木に藁人形を釘に打ち付け、以て憎し思う人を害せんと祈るものなり。素より妄信より来れることにて、執念深き女のすることなり、凄惨の画題に用いらる。

葛飾北斎始め浮世画家の之を筆にせるもの少なからず。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

夜の丑の刻、妬むことあつて、女のする呪事、髪を解き、白衣を着、高い木履をはき、金輪に蝋燭を立てゝ戴き、胸に鏡をかけ神社や仏閣に詣で、森の樹に藁人形を五寸釘で打ちつけ、仇と思ふ男女の命を縮めやうと祈る。鎌倉時代以前から行はれたものと見え、『平家物語』にも之が見え、『台記』には久寿二年八月廿七日の条に、

打釘於愛宕護山天公像目。

とあり、近松の『蝉丸』にも『あゝもう丑の時参り、仇と情と怨念と三つの鉄輪に燃る火に』などとある、その姿に凄みがあるので、画にしても中々面白い、北斎をはじめ徳川末期の浮世絵師の作には多いが、近頃では余り無い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)