白膠木

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ぬるで


画題

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解説

東洋画題綜覧

漆科の落葉灌木、塩膚木、塩麸木、勝軍木などといふ、葉は羽状複葉で漆に似てゐるが、葉柄に翼あるを以て識別すべく、山野に多く、秋の紅葉美しきを以て知られる、八月頃開花す白色五弁で多数集まつて咲く、小虫集まつて塩のやうな粉末をつけ、花後果実となつても、なほその自粉が残り、之を舐ぶれは塩辛いので、俗に塩からともいふ、塩膚木、塩麸木の名はこれから起つたもの、また、勝軍木といふは、昔聖徳太子物部守屋を攻め給ふた時、この木を以て四天王の像を刻み髪の中に秘めて御出陣、戦に勝たせ給ふたので、勝軍の木といはれ、昔は年始の祝木に用ひられた。

その時太子大願を起し、ぬるでの木をとりて四天王を刻み奉り、いたゞきの上に置き奉りて『今放つ所の矢は四天王の放ち給ふ所なり』とのたまひて、舎人をして射させしめ給ひしかば、その矢、守屋が骨にあたりてたちどころに命を失ひぬ。  (水鏡)

その紅葉した状は四十雀など添へて、よく花鳥画の画材となる。作例極めて多い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)