初代豊国作品による錦絵狂言づくし −歌舞伎資料としての役者絵−


 このコーナでは、初代豊国が特定の興行に対して描いた作品を館蔵品の中から選びました。前・後期それぞれ三興行分を展示します。
 江戸時代の芝居の内容を知る手段としては、絵空事として役者絵を軽視する傾向があったかと思います。しかし、絵によって伝わってくる情報量は膨大です。絵本番付ですらせいぜい六面から八面程度の画面を持つ程度であり、しかも単色の資料ですから、役者絵がいかに魅力的な資料であるかがわかると思います。
 これだけの作品を一興行に対して集めてみると、どれがいわゆる「予定稿」で実際に上演されていない場面であるかも判別できるようになってくるため、まさしく上演された場面場面を知る重要な手がかりとなってくるのです。
 今回は、初代豊国作品のみに限定して展示しましたが、初代国貞や国安らの作品も一堂に会してみれば、まさに「錦絵狂言づくし」となることは、間違いありません。
 辻番付と絵本番付等を参考にしながら、役者絵から江戸時代の芝居を極彩色の世界お楽しみください。

文化6年 (1809) 6月11日 森田座
阿国御前化粧鏡
(おくにごぜんけしょうのすがたみ)
文化8年 (1811) 5月5日 中村座
花菖蒲佐野八橋
(はなしょうぶさののやつはし)
文化7年 (1810) 5月5日 市村座
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(えほんがっぽうがつじ)
文化10年 (1813) 7月15日 中村座
太平記菊水之巻
(たいへいききくすいのまき)
文化9年 (1812) 7月15日 中村座
太平記忠臣講釈
(たいへいきちゅうしんこうしゃく)
文政元年 (1812) 7月17日 中村座
敵討揃達物
(かたきうちどれもわざもの)

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