月天
がってん
画題
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解説
東洋画題綜覧
十二天の一、月天子、月宮天子、宝吉祥天子、又、月神等ともいふ、梵名は旃怛羅、諸天伝に『月宮天子、謂此天、宿因所修所証与日宮天子同、故生其中其宮殿百宝所成、五風運特不令停住、環繞須弥山照四大洲、其円欠者、白月初日在前、黒月初日在後、因日影覆射、故見月輪欠、然月光陰滋万物、夜発光明、功次於日、法華云、明月天子是也』と見え、此天の月中に生じたるは、日宮天子の日中に生じたるが如く、其宿因は布施、持戒、善行を修して仏に奉事せるに在りと云ふ、又此天は薬師仏右脇月光菩薩の所現とも大勢至菩薩の応作とも云ひ、或は成劫の時人香稲を食ひて、世界の黒暗となるや仏宝吉祥菩薩をして月輪を作り夜を照らさしめたといふ、月宮のことは起世経に『月天殿縦、広正等四十九由旬』と説き、阿含経に『月天子城郭縦広五十由旬』と記し倶舎論には『月宮与人界相距五十踰繕那』と云ふ、密教に在ては、胎蔵界曼荼羅下方の第四重外金剛部院の右方に列し、其形像は大日経疏に西門之南与日天相対応置月天乗白鵞車』と見え、秘蔵記には『白肉色、持半月形乗鵞』と見える、其印相は十二天供儀軌に『如前梵天印祖仰掌、中有月潔白相』と記し其梵天の印相は同軌に、『右手作拳安右腰左手五指著相豎之少屈、其高少許過肩、即成蓮花想』云々と見えた。 (日本百科大辞典)
月天の絵で国宝に指定されてゐるもの左の通り
無款絹本一幅 京都教王護国寺蔵
同 京都神護寺蔵
伝高階隆兼筆 近江坂本来迎寺蔵
無款一幅 近江犬上西明寺蔵
伝増吽筆一幅 岡山県長福寺蔵
伝空海筆一幅 奈良西大寺蔵
無款一幅 伊勢津市大宝院蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)