錦鶏
きんけい
画題
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解説
東洋画題綜覧
錦鶏又金鶏に作る、雉科の鳥で、原産地は支那で、陝西甘蕭の南部から、四川、湖北の西部、宜昌の一部にかけて棲息するといふ、大抵六百米突乃至千三百米突位の山地である、鳥類の中では最も羽毛の色彩の美しい方で、雄は頭に長い黄金色の羽冠を戴き、同じ色の腰衣に尾の基部を蔽ひ、尾は暗褐色で細い斑点があり、顔の後から襟にかけては黒と橙色のだんだらの羽毛が扇の如く兜の錣のやうである、腹は濃紅色、肩は暗紅色、後列風切は紫色で朱を交へ、嘴と脚は黄色、五彩陸離たるものがある、雌は褐色に黒斑があるのみ、極めて単調なことは、他の鶏類と大差ない。
平原空笑戈人労、山木青葱護錦毛、何処晩風堪顧影、石泉澄澈激見秋毫。 程敏政
錦鶏を画いた作
呂紀筆 『牡丹錦鶏図』 東京帝室博物館蔵
周之冕筆 『同』 松平侯爵家旧蔵
王若水筆 『錦鶏牡丹図』 島津公爵家旧蔵
狩野元信筆 『花鳥屏風』の錦鶏 中村雅真氏蔵
田能村竹田筆 『梅花錦鶏』 川崎男爵家旧蔵
渡辺崋山筆 『霜柯錦鶏図』 小田原山田氏旧蔵
狩野探幽筆 『松樹錦鶏図』 内藤子爵家旧蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)