鼠
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ねずみ
画題
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解説
東洋画題綜覧
鼠は哺乳動物の一で齧歯類に属す、犬歯を欠き門歯の内上下両顎の二対が一生を通じて生長を続け琺瑯はその前面にのみ存在する、四肢は各五指、各趾端には鉤爪を有する、前臼歯は普通の鼠には無く、樺太産の尾長鼠では上顎に一対だけ、内地産ヤマネでは両顎に二対だけ見られる、臼歯はよく発達し、尾は長く毛のある外に鱗片の環を具へてゐる、歯は絶えず磨滅する必要があるので、食物を摂る必要以外に物を噛らねばならぬ、元来植物性の食物を摂るのであるが、人家又はその近くにあるものでは雑食性になつてゐる、種類は極めて多いが大別すると家鼠と野鼠に分けられ、内地産の野鼠には畑鼠、溝鼠、種鼠、二十日鼠などがある。
鼠を画いた作としては、銭舜挙に有名な『瓜鼠』があり、この構図は後世模さるゝもの少くない、また白井直賢は好んで鼠を画きよく名を知られてゐる、その他左の諸点がある。
渡辺崋山筆 『蚕に鼠』 虫魚帖中の一図
円山応挙筆 『鏡餅の鼠』 高橋男爵家旧蔵
相阿弥筆 『瓜鼠』 林浜郎氏蔵
高嵩谷筆 『大根鼠』 伊達家旧蔵
郷倉千靱筆 『野鼠』 第十七回院展出品
川端玉章筆 『百鼠図』 宮田氏旧蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)