鶴
つる
画題
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解説
画題辞典
鶴は一種の水鳥ながら、頸長く脚高く丹頂白身にしてその形極めて麗はしきと、その壽甚だ長くして古来千年と称せらるにより、瑞鳥とせられ、画かるゝ所極めて多し、松を配しては「松上双鶴」又「松上の鶴」と題せられ、旭に配しては「日の出の鶴」と呼ばる、或は「浪に鶴」或は「群鶴」或は「鶴亀」或は「鹿鶴」など、その図の範囲は極めて廣く、その図千を以て挙ぐるも尚ほ足らざるべし。就中世に知れたるもの左の諸点を挙ぐべし。狩野正信筆竹石白鶴図(京都真珠庵所蔵)、文正筆鳴鶴図(京都相国寺所蔵)、狩野永徳筆松鶴襖絵(京都大徳寺聚光院所蔵)、狩野山樂筆群鶴屏風(九条公爵所蔵)、俵屋宗達筆鶴図二曲屏風(大阪上野理一氏所蔵)、円山応挙筆遊鶴襖絵(讃岐金刀比羅宮所蔵)、円山応挙筆金地鶴屏風(近衛公爵所蔵)、岸駒筆波鶴屏風(近衛公爵旧蔵)、王若水筆竹鶴図(秋元子爵旧蔵)、狩野常信の画く所に極めて多し。 、
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
鶴は鳥類の中でその姿態最も端厳にして然も威容あり、その齢千年に達するといふので古来芸術とも極めて交渉深く、瑞鳥霊鳥として扱はれてゐることも日本ばかりでなく、支那印度欧洲にも及んでゐる、殊に東洋にあつては神仙に配されたり、蓬来山に舞はせられたり、絵画に図案に紋様に、その扱はれ画かるもの枚挙に遑もない、紋の鶴の丸、向ひ鶴、舞鶴、咬合対鶴、鶴菱、三羽鶴巻などがあり有職風の模様に松喰鶴のあることもよく知られている。
鶴は鶴科に属し、渉禽類中最大のものであるが、普通最も芸術に交渉の深いのは丹頂で仙鶴、白鶴といふのも皆此の種であり、次で真那鶴、鍋鶴が聞えてゐる、鍋鶴は白頭鶴又は玄鶴と呼ばれ、大体の感じが灰色であり、真那鶴よりやゝ小さく、別に姉羽鶴がある。口碑や伝説も多く、画題も極めて多い、中で鶴の名画と称せらるゝもの左の通りである。
文正筆 『鳴鶴双幅』 京都相国寺蔵
牧谿筆 『観音猿猴三幅対』 大徳寺蔵
伝元信筆 『竹鶴』 南禅寺蔵
正信筆 『竹石白鶴』 真珠庵蔵
永徳筆 『鶴襖絵』 聚光院蔵
光琳筆 『立鶴屏風』 大倉喜七郎氏蔵
雪舟筆 『四季花鳥屏風』 大橋新太郎氏蔵
尚信筆 『鶴襖絵』 京都知恩院蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)