A4-3 玉藻前と九尾の狐

「東海道五十三次 京 大尾」「玉藻前」「三浦之介」
絵師:歌川豊国〈3〉 判型:大判錦絵
出版:安政4年(1857)
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcUP4691.

【解説】
 歌舞伎にも玉藻の前は登場する。本作品は、文政4年(1821)7月江戸河原崎座で初演された「玉藻前御園公服」を題材としている。四世鶴屋南北67歳の作。ケレンを得意とした三世菊五郎に、本水・早変わり、宙乗りなどの舞台技巧を存分に用意し、活躍させた。本図は、役者の見立てた「東海道五十三次」物で、玉藻の前に5代目市川海老蔵 三浦之介に嵐璃寛が当てられている。
 その外、玉藻の前が登場する文芸作品には、 
 人形浄瑠璃 浪岡橘平・浅田一鳥・安田蛙桂『玉藻前曦袂』(たまものまえあさひのたもと)
 近松梅枝軒・佐川藤太 『絵本増補玉藻前曦袂』(えほんぞうほたまものまえあさひのたもと)
 歌舞伎  金井三笑『玉藻前桂黛』(たまものまえかつらのまゆずみ)
 鶴屋南北『三国妖婦伝』
 読本 高井蘭山『絵本三国妖婦伝』 
 合巻 曲亭馬琴『殺生石後日怪談』(せっしょうせきごにちのかいだん)
 など多くの作品があり、たいへん人気を博したことが知られる。(小.)