【画中文字翻刻】
往昔源牛若丸が美少年なる 長者が娘浄瑠理姫は 想ひの渕の源に云寄こともある夜半に 冴々琴を調ぶるにぞ 君はつれ/゙\笛の音を 律に柵みて憂節を 慰め給ふが媒として 深き契りとなりしとぞ
【補足説明】
浄瑠璃御前物語はもともと十六段からなる物語であるが、のちに牛若丸と浄瑠璃御前が契る場面以降が削られ十二段の物語となった。写本や活字本で流布する時点で浄瑠璃御前浄瑠璃御前が祈りによって牛若丸を救う場面や浄瑠璃御前を弔うために寺を建立した場面がなく、本地物としての性格が薄くなっており、時代が下るにつれて単なる恋愛譚と捉えられるようになった。(山)
【参考文献】
信多純一『浄瑠璃御前物語の研究』(2008、岩波書店)
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