C2-2勾当内侍と新田義貞の出会い 「東錦昼夜競」「勾当内侍」絵師:楊州周延 判型:大判錦絵出版:明治19年(1886)所蔵:個人【解説】「東錦昼夜競」は、芳年と並び活躍した周延による全50枚のシリーズである。神話時代から江戸時代にかけての歴史故事や伝説を題材している。北条家が退治された直後の秋の夜、内裏の警護を担当していた新田義貞は、御簾を巻き上げて琴を弾いていた勾当内侍を見てその美貌に心を奪われてしまう。その後、義貞は勾当内侍に「わが袖の涙に宿る影とだにしらで雲ゐの月やすむらん」(訳:あなたを恋い慕って涙にぬれる袖に月の光が照り映えているが、このわが思いを空に澄み輝く月は知りもしない。)という歌を送る。その場面を描いている。(平) 続きを読む ≫ 【翻刻】内侍は芳野の御所に宮仕し 容顔美麗玉をも欺く古今の美人 殊に琴を能くす 一日義貞参内のおり 琴の音の聞へるに ある心よき調やと思わす 佇み内をのぞき見れば内侍なり 義貞頻りに恋々の情発し つひに内侍を申賜り昼夜側を離さず寵愛しける 頃しも南北朝の戦争中なるが 既に其日速に出陣すべきを 愛に溺れ延引におよびたる故 南軍一トツの敗を取たり 義貞如き将も一婦の為に後れを取しは恥へきことなり 【参考文献】山下宏明編『太平記』(2016年 新潮社) ≪ 続きを隠す 投稿日:2017年11月16日 by 8P カテゴリ: C 太平記の女たち,C2 勾当内侍 [編集]