02梅川 忠兵へ

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 絵師:三代目豊国
落款印章:任好 七十九歳豊国筆
判型:大判錦絵
版元名:近江屋 九次郎
改印:子二改
出版年月日:元治1(1864)年
配役:梅川…二代目岩井紫若 忠兵へ…五代目坂東彦三郎
 
「恋飛脚大和往来」新口村の一場面。
遊女である梅川と飛脚問屋の養子である忠兵衛は、互いに恋仲です。忠兵衛が梅川の身請けのために公金に手をつけてしまい、責任を感じた梅川と二人で忠兵衛の実父のいる新口村へ逃亡します。
罪人となった二人は顔を隠す必要があり、忠兵衛は「頬被り」、梅川は「吹き流し」という、それぞれの役の性格を表すような被り方をし、男らしさや女の色気を表現しています。逃亡中の二人は、手拭いと合わせて、さらに正体がばれないように、隠蔽色である黒を身に纏っているのです。遊女といえばもっと華やかな身なりをご想像すると思いますが、もはや罪人と化した梅川は、髪飾りも少ない質素な身なりとなっています。黒が基調のこの絵は、遠くから見ても目を惹く特徴的な作品ではないでしょうか。
 

 忠兵衛が首に巻いている手拭いは、歌舞伎の中で重要な役割をしています。

梅川の髪型は、その形から、「つぶし島田」と呼ばれる髷だと思われます。「つぶし島田」は、「島田髷」という江戸時代に流行した髪型から派生したもので、江戸後期は「島田髷」といえば「つぶし島田」を指すほど大流行し、当時は若い女性のシンボルのようなものでした。
(参)金沢康隆著『江戸結髪史』(青蛙房1998)