05 あふぎや夕ぎり 藤屋伊左衛門

5714-C041(都立中央図書館)

絵師:三代目豊国
判型:大判/錦絵
落款印章:好にまかせ七十九歳豊国筆
版元名:近江屋久次郎
改印:子二改
出版年月日:元治元年(1864)2月
配役:あふぎや夕ぎり(1)市川新車、藤屋伊左衛門 (5)坂東彦三郎
 
 夕霧と伊左衛門は『廓文章』の主人公です。夕霧の紫色の病鉢巻、伊左衛門の紙子姿が特徴的な出で立ちとなっています。『廓文章』は、大坂新町の名妓夕霧太夫を追悼する目的で上演された『夕霧名残の正月』に端を発したものであり、『夕霧阿波鳴渡』吉田屋の段の改作となっています。この浮世絵に描かれている場面は、零落し、紙子姿に身を窶した伊左衛門が久しぶりに吉田屋に姿を現わし、そこで恋煩いに罹っている夕霧と再会を果たすという場面です。また、伊左衛門は夕霧が他の客と会っていることに腹を立て、不実を詰り、それを夕霧が説得する場面となっています。
 ここで注目したいのが、この『廓文章』における愛と金との関連性です。夕霧には、200両(約1億8348強円)という破格の身請け金が設定されています。これは、他の遊女と比べても群を抜いている価格です。お金が無い為に一度離れた二人が偶然再会し、身請け金が届くことによって、一緒になれる。『廓文章』は、愛と金との関連を如実に語ったものではないでしょうか。