1.3五番立TOP

●楊貴妃(ようきひ)

UP0952S.jpg[あらすじ]
唐土玄宗皇帝に仕える方士(呪術師)は、楊貴妃の霊魂の行方を探せという勅命を受ける。そして天上界から黄泉まで尋ね、ついに蓬莱宮まで赴くと楊貴妃の霊魂と出会うことが出来た。方士が楊貴妃没後の玄宗の嘆きを伝えると、楊貴妃は玄宗と誓い合った時のことを語りだす。また自分は実は天上界の仙女であり、仮の姿として人間界に生まれた、そして皇帝に召され契りを結んだと話す。
思い出の霓裳羽衣(げいしょううい)の曲を舞い、去りゆく方士に形見の簪を与え、はかなげに見送る。
[場面解説]
ワキ・方士がシテ・楊貴妃に天冠を捧げている場面である。「そよや霓裳羽衣の曲 そよや霓裳羽衣の曲そぞろに 濡るる袂かな」という謡のあとに「物着」になり、シテは天冠をつける。ここではワキは唐冠を着けている。この唐冠は、「鶴亀」のシテ・皇帝にも着けられるもので、唐人役としては正式な出立である。観世流謡本には、ワキは冠類は戴かないことになっており、本作品におけるワキとはいささか出立も違っている。唐冠との組み合わせや、本作品の描写からすると、装束はおそらく狩衣であろう。
一方、シテの出立は、緋大口に唐織を壺折で着付けている。上に着付けたこの唐織は、能装束の中でも最も豪華絢爛なもので、これを緋大口に壺折で着付けることで、女性の貴人を表現している。装束はもちろん、楊貴妃という人物そのものの持つ華やかさもあいまって、本作品は上品で華やかな一場面を楽しむことができる。