1.1翁TOP

●翁式三双図

UP1343-1345
[場面説明]
大判三枚続きの画面を使い、翁の舞を舞台全体で見渡している。向かって左側には、舞台の常座奥に下居する三番叟をとらえている。三番叟の他には、囃子方や後見、地謡が見える。翁の舞では大鼓は演奏しないため、床几にはかけず、三番叟と同様に下居して横を向いている。
 中央の翁太夫が纏っている装束は、翁烏帽子に翁狩衣、そして指貫である。とりわけ狩衣は、蜀江文様と決まっており、他に例は無い。有名な「とうとうたらり」のくだりであるが、観世・金剛の二流は「とうとうたらりたらりら」、金春・喜多流は「どうどうたらりたらりら」、宝生流は「とうどうたらりたらりら」と謡い方に違いがある。
 やがて千歳の舞となり、それに続く謡や翁の舞の後、「千秋萬歳の喜びの舞なれば 一舞舞はう萬歳楽 萬歳楽 萬歳楽」という謡で終了し、三番叟に変わる。
 向かって右側には、面箱と後見、そして千歳が下居している。この千歳の着けている千歳直垂は、通常の切金文様に鶴亀をあしらったものではない。鶴亀は見えるが、切金文様ではなく笹が描かれている。
 内には亀甲文様の厚板を着用しており、吉祥に満ちた意匠が多く、装束から見ても祝言性の高さがうかがえるのである。