1.2裏舞台 ⇒TOP

●蝉丸(せみまる)

UP0871S.jpg

[あらすじ]
 醍醐天皇の第四皇子として生まれた蝉丸の宮は幼い頃から盲目だった。帝は待臣の清貫に命じ、蝉丸を逢坂山に捨てて来させる。清貫はこれは蝉丸の前世の罪を償い、後世によい果報が来るようにとの帝の御慈悲なのだと言い聞かせ、剃髪させる。
そこでは唯一の同情者博雅三位によって藁屋が作られ、蝉丸はその中で琵琶を弾いて暮らしていた。
一方、蝉丸の姉宮である醍醐天皇の第三皇女の逆髪は、髪が逆さに立つ病があり、心が乱れさまよい歩いていると逢坂山にたどり着いた。どこからか琵琶の音が聞こえてくるので、音が聞こえる方へ進むと、そこには弟宮・蝉丸がいた。二人は手を取り合い、互いに不幸を嘆き悲しんだのち、いづこへともなく去ろうとする姉宮の後ろ姿を、蝉丸は見えぬ目で見送るのであった。

⇒続きを読む

●項羽(こおう)

UP0925.jpg[あらすじ]
 草刈りたちは、偶然来合わせた老人の渡し船に、便船を求めた。すると老人は船賃はいらないから乗りなさいという。やがて対岸についた時、老人は草刈りに船賃の代わりに背負っている籠の中にある虞美人草がほしいと言う。理由を尋ねると、この花は項羽の后虞氏を埋めた塚に咲いた花であると答え、項羽と漢の高祖の戦いの末、高祖に破れた項羽こそが自分であると明かし、弔いを頼み消えていった。
その夜、草刈りの夢の中に矛を持った項羽と虞美人の霊が現れ、華やかだった昔を偲ぶ。そして虞氏が身を投げ、項羽が矛の柄で探すも虚しく、再び戦の場へ戻り、悲憤の末の自刃までを再現してみせる。
⇒続きを読む

●白楽天(はくらくてん)

UP0920[あらすじ]
中国の詩人・白楽天は日本の知力を試せという勅令を受け、松浦潟までやってきた。そこで小舟に乗って釣りをしている漁翁と漁夫に出会う。すると漁翁は楽天の名前・渡来の目的を当て、楽天が目の前の景色を見ながら詩を作ると、直ちに和歌に翻訳する。老漁は日本では蛙や鶯までもが歌を詠むのだといい、舞楽の遊びをして見せようと言うと消えていった。
老漁は、実は住吉明神の仮の姿であり、やがて気高い老体の神姿で現れ、舞を見せた後に多くの日本の神々と共に神風を起こし、楽天を中国へと吹き戻すのだった。
⇒続きを読む

●通盛(みちもり)

[あらすじ]
阿波の鳴門の浦にて僧が毎夜平家一門を弔っていると、女と漁翁を乗せた小舟が漕ぎ寄せ僧の読経を聴聞したいという。僧が経を読んだあと、この浦で果てた人を知っているかと聞くと、平通盛と小宰相の局のことを語り海中へ沈み姿を消す。
経を読んでいると僧の前に通盛・小宰相の霊が現れた。一ノ谷の合戦前夜の悲しい別れや最後の有様を語り、僧の読経によって成仏できたことを感謝してまた海へと消えて行く。

⇒続きを読む

●袴能(はかまのう)

UP1044[あらすじ]
周(中国)の穆王の時代に、里の女が帝王に三千年に一度だけ花が咲き実を結ぶ仙桃の実を捧げる。帝は西王母の桃であろうと喜ぶが、女は、自分が西王母の分身であり、この世を言祝ぐため、桃の実を持って再び訪れることを予言して消え去る。
人々が様々な管弦を奏して西王母の到来を待ち受けていると、西王母が桃の実を携えた侍女とともに真の姿を現わす。その桃の実を皇帝に捧げた後、西王母は優雅に舞いながら明け方の雲に紛れて天上へと帰っていく。
⇒続きを読む