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2009年7月22日

DHについての欧米最新情報と本拠点の今後の予定

鈴木桂子
立命館大学衣笠総合研究機構 准教授
グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」
リサーチ・マネージャー

北米
CenterNet (U.S. & Canada)の経緯— 2年前に、米国のNational Science Foundation(国立科学財団、米国の科学技術向上を目的とする政府組織)のリードで、DHを米国、北米全体でどのように推進していくかについて、様々な財団・助成金機関と、その助成金を受ける側の大学・研究機関が一堂に会し、会議をした。2日間に渡る会議で、最初は、様々な財団・助成金機関同士、大学・研究機関同士でそれぞれ話し合い、2日目に、双方での話し合いを持った。その結果、通常では、助成金を競い合う間柄である大学・研究機関は、DHに関しては、そういった枠組みを越え協力し、それに対しての助成金を受けるという、国家的規模のcyber-infrastructureを展開することとなった。これがCenterNetで、現在、北米で200を超えるメンバーが加盟している。(ここで、cyber-infrastructureという語を使っているが、これはいわゆるインフラだけでなく、むしろツール・テクノロジーを重視したユーザー、研究のための社会的ネットワークを意味している。)

また、同様な目的のもと(How can we advance arts and humanities research through the development of shared technology services?)で、シカゴ大学とUC Berkeley が共同で進めているのが、Bamboo Project
http://projectbamboo.org/
これは、メロン財団に資金を得、2010年始動に向け、現在、計画の最終段階に入っている。順調にいけば、2020年までの10年間(3期)、このプロジェクトが稼働、すでに130程の機関が加盟している。

ヨーロッパ
ヨーロッパでも同様なものが2つ動いている。1つは、DARIAH: Digital Research Infrastructure for the Arts and Humanities、これは、King’s College Londonが中心となっている。もう1つは、CLARIN、オランダのユトレヒト大学(Steven Krauwer)がコーディネーターを務め、EU内の言語研究を目的としたcyber-infrastructureを展開中。
http://www.clarin.eu/system/files/private/Krauwer-CLARIN-overview3.pdf

こういった欧米の流れは、この100年間、あまり学問分野として変化のなかった人文科学を、DH Centerを中心に、刷新していこうという動きでもある。
この流れを受け、アジアも地域としてDHを推進していくべく、環太平洋地域のregional CenterNet alliance (network)を形成してはどうか、という話がFraistat先生からあった。

環太平洋といっても、6月24日に会ったのは、国立台湾大学の、Research Center for Digital Humanities(センター長、項 潔、Jieh Hsiang教授)のグループと、
Prof. Jane Hunter, School of Information Technology and Electrical Engineering, the University of Queensland, Australia。後、話題出たのは、中国と韓国、モンゴル。

国立台湾大学で開かれるDHの国際会議
(12月1日、2日-- http://www.digital.ntu.edu.tw/DADH/indexEN.php)の際に、まず、一度目のregional summitを開き、共通する関心はなにかを探ってはどうか?その後、探索的な行動計画を構築し、実行。
一度目のregional summitの結果をまとめ、来年のDH2010(7月7日から10日、ロンドン)の前日、Worldwide DH Center Summitに参加できることを期待。

世界規模でcyber-infrastructureの拡充を推進するためには、どのように他のDH Center、国全体を巻き込んでいくか、ということが大きな焦点となる。それぞれの国でのDH Centerの設立状況が異なっている。例えば、台湾では現在、DH Centerは、国立台湾大学にのみ、存在する。他大学の先生がこれに、参加・協力している。オーストラリアでは、Center of Excellenceのシステムをとっている。だが、本拠点の場合と異なり、一拠点がDHを推し進めるのではなく、多くの機関からDH関係者を集めたものをCenterと呼んでいるようだ。

 

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