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2007年10月 9日

第2回GCOEセミナー(千羨幸)

発表のまとめ:「新石器時代から無文土器時代への住居様相の変化」というテーマは、「日本文化研究班」の主なサブ・テーマの一つである縄文・弥生移行期の日韓比較研究に相当するものである。このテーマと日本文化とはどのような関係があるのかについて、日本列島の考古学を理解するうえで、韓半島・日本列島・中国との地理的関係を理解する必要があること、また、考古学的資料の活用面で、膨大な資料が増加し、資料利用の限界あること、そして、情報の共有面で必要な研究である。具体的に、本発表者はまず、韓半島における新石器時代から無文土器時代(青銅器時代)の移行期の住居様相を検討することにした。対象地域は韓半島の慶尚南道地域で、約250箇所の遺跡を確認している。今回の分析において二つの目的があるが、デジタル・ヒューマニティーズからの側面では①資料のデータ・ベース化と②GIS研究法を考古学に実践的に活用し、その成果を出すことである。そのため、デジタル・ヒューマニティーズに向けて、資料のデータ・ベース化に備えた各項目を設定し調査を行い、各分析内容に適したGISのプログラムを利用し、わかりやすくその成果を出すように励んでいる。   質疑応答

1.韓半島と西日本との間、デジタル化の方向性が違う理由は?

「じんもんこん2006」にその現状に関する発表があることを富山日出夫先生からご指摘がありまして、色々と読んで後ほどコメントいたします。

2.具体的にどのように、GISを利用するか?

 考古学の中でも遺跡の分布や遺跡の拡散などは点を落として提示しており、基本的な方法はすでにやって降ります。問題はGISを目的に合うように活用できるかであります。実際、GISのプログラムは目的により色々の操作ができ、まず何を見出すかという目的がないと活用しにくいものであります。そして、考古学的な目的も一つではなく、複数であり、其々に操作していかなければなりません。この前、地理の集中講義に参加し、実際の使い方を学ぶことができて、少しながら、どのように適用していくかの方向性を掴むようになりました。これからも他分野の方々から助言をいただき、考古学的結果をより分かりやすく提示できるようにします。

発表の記録

コメント(2)

當山日出夫 : 2007年11月27日 17:10

補足的にいささか。

文化財資料のDB化については、一面では、純粋にアカデミックな利用という方向もあります。しかし、その一方で、非常に、政治的な側面も持っています。ただ、過去の文化遺産だからといって、すべて、デジタル・アーカイブ可能であるわけではありません。技術的な問題のほかに、人間社会の問題もあります。

たとえば、日本の国立博物館のHPを見ると、確かに、いくつかの収蔵品のデジタル・アーカイブはあります。が、それは、その博物館独自の収蔵品に限定されているのが通常です。(では、なにが、デジタル・アーカイブできないのか・・・これは、また、別に語るべきことになります。)

世界の国々で、どのように文化遺産のデジタル・アーカイブをすすめているか、そのことの現状を、調査しておいでなのが、八重樫純樹さん(静岡大学)です。

昨年の「じんもんこん2006」(同志社大学)では、中国・韓国など東アジアでの、文化遺産のデジタル・アーカイブの状況について、研究調査の報告がありました。

今年(07)の12月には、静岡大学で、研究会が予定されています。以前、GCOEのMLでも流れた情報ですが、八重樫さんの研究室のHPでも、確認できます。

http://yaeken.ia.inf.shizuoka.ac.jp/

あるいは、情報知識学会のHP、第12回情報知識学フォーラム

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsik/

當山日出夫(とうやまひでお)

當山日出夫 : 2007年11月28日 19:33

千さんの御発表は、GCOEセミナーの実質的な最初だったので、質疑のときに、やや厳しい表現をしてしまいました・・・だれが、遺跡の発掘資料にGISのための、データを付加するのですか、と。

このようなブログは、メンバーによる知識の共有(→集合知)という方向性ももっていますので、再確認のために書いておきます。私の発言だけではなく、他の方からの発言もふくめて、になりますが。

私は考古学は素人ですので、詳しい遺跡名は知りませんが、たとえば、「~~遺跡」というものがたくさんあって、それぞれに、発掘の報告書・研究書が存在している。こういう遺跡を対象としてあつかうのか。

あるいは、ある遺跡なかの、個々の住居跡とか遺構とかを、対象にするのか。

いずれであるのかによって、研究目的に必要とされる時空間情報が異なってきます。逆にいえば、遺跡から得られる時空間情報の精度によって、研究は制約をうけることになる、と言えるかもしれません。

この意味において、「だれが、その情報(時空間情報)を、つけるのか」ということは、研究テーマの設定において、きわめて現実的なことになります。かぎられた時間と人的資源を、どうつかうか、です。

そして、他のメンバーと、どのように情報を共有するのか、この点も重要です。人文学研究は、基本的に個人研究者の仕事ですが、研究資料のデジタル・アーカイブは、共有と公開が、前提にあります。そのうえに、個々の研究者の研究がなりたちます。(このことは、映画研究についても言えるのですが、それについては、別の項目で。)

當山日出夫(とうやまひでお)

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