• 日本文化研究班


2008年12月10日

東京大学史料編纂所の「日本古文書ユニオンカタログ」報告

12月10日、P.D.の岡本が、東京大学史料編纂所の近藤成一(こんどうしげかず)教授を訪ねて、近藤先生が進めている「日本古文書ユニオンカタログ」についてお話を聞いてきました。

東京大学史料編纂所は大日本史料、大日本古文書などの史料を編纂・刊行していますが、それと並んで早くから日本史関係のデータベースの作成・公開も行っています。近藤先生の「日本古文書ユニオンカタログ」は2005~2008年度科研プロジェクトで、1600年以前の日本の古文書を網羅する統合的な目録を作成しようというものです。

一つの史料は様々なかたちで存在しています。ある文書がたとえば影写本になっており、大日本古文書に収録され、さらに鎌倉遺文にも収録されている、というようなケースです。史料編纂所のデータベースも影写本を主体とする古文書目録データベース、大日本古文書の家わけ文書を中心とする古文書フルテキストデータベース、鎌倉遺文についは鎌倉遺文フルテキストデータベースなどがあります。同じ文書が様々なデータベースに存在していることがあるわけです。様々なデータベースに存在している同じ文書をまとめて一つのグループ番号を与える、というのがユニオンカタログで行われていることで、各別に作成されてきたこれら古文書関係データベースや画像データをそのグループ番号を使って連結することにより、一元的な史料の把握が可能になります。また、それとともに、複数のデータが統合されてできたたグループ一つひとつは史料の一点々々を示しているわけですから、最終的にこのグループを集めると(既存のデータベースに収録されているデータの範囲でですが)古文書を網羅するカタログができる、ということになります。

史料編纂所に限らず、人文学分野において多数のデータベースが作成されてきましたが、ある時点、ある規模に達したときにこのような整理をおこなうととても有益だと思います。一度の検索で複数DBから取得した結果がわかりやすく表示されるようになって使いやすくなるだけではなく、個々のDBでは備えることができない網羅性を、既存のデータを使用しながら、備えることができるようになるわけです。大変興味深い試みではないでしょうか。

日本文化研究班 P.D. 岡本隆明

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