上方舞の中でも、京都固有の特色を持つ井上流を特に『京舞』と呼びます。井上流は、寛政年間(1789~1801)に近衛家の舞指南役を勤めた井上サト(初世井上八千代)が宮廷文化を基盤に創始しました。以来ほぼ2世紀の歴史を持ち、祇園甲部の正式唯一の流派です。今や京都の年中行事となっている「都をどり」を支えているのも京舞井上流なのです。

 


井上 八千代
(人間国宝)
京舞井上流五世家元。観世流能楽師片山幽雪(九世片山九郎右衛門)の長女として京都に生まれる。祖母井上愛子(四世井上八千代)に師事。昭和34年井上流入門。昭和45年井上流名取となる。
昭和50年学校法人「八坂女紅場学園」(祇園女子技芸学校)の舞踊科教師になる。
平成11年芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞を受賞。
平成12年五世井上八千代を襲名。
平成25年紫綬褒章を受章、同年日本芸術院会員となる。
平成27年重要無形文化財各個指定(人間国宝)に認定。
平成30年フランス共和国芸術文化勲章「シュバリエ」を受賞。

 


井上 安寿子
昭和63年能楽観世流九世観世銕之丞と京舞井上流五世家元井上八千代の長女として京都に生まれる。2歳より稽古を始め、四世及び五世井上八千代に師事。3歳で「四世井上八千代米寿の会」にて初舞台(上方唄「七福神」)。平成18年井上流名取となる。
平成23年京都造形芸術大学卒業。
平成25年井上安寿子主宰の舞踊公演「葉々(ようよう)の会」を発足。同年第50回なにわ芸術祭新進舞踊家競演会新人賞、平成27年京都市芸術新人賞、平成28年第36回伝統文化ポーラ賞奨励賞、平成30年東京新聞第1回日本舞踊新鋭賞、平成31年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。