No. | 研究課題名/研究代表者所属・職名・氏名/概要(研究課題名をクリックすると表示) |
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18世紀の上方・江戸における出版と都市文化の関連性 The Relationship Between Publication and Urban Culture on Kamigata and Edo in 18 Century |
国際日本文化研究センター 特任助教 石上 阿希 |
本研究では、江戸中期に京都を拠点として活躍した浮世絵師である西川祐信(1671~1750)に着目し、18世紀上方出版文化から江戸の都市文化へと続く知の連環を考察する。 祐信は、上方だけではなく、江戸の絵師にも大きな影響を与えた絵師であり、多様な出版文化の展開を担った重要な人物であるにも関わらず、これまで十分な研究がされてきたとは言い難い。本研究は、祐信という絵師を核とした知的活動の展開と上方文化の江戸流入を明らかにすることを目的とする。 研究活動の一つとして、毎月 1 回 アート・リサーチセンターにて西川祐信の着物雛形本『正徳雛形』の研究会を開催。染織、文学、美術など様々な研究者をメンバーとして『正徳雛形』に記載された各雛形を分析し、模様の典拠となった文学、演劇との関連性を考察する。 |
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占領期都市空間の写真アーカイブズ研究―米国国立公文書館所蔵写真を中心に― Study on Photograph during occpied of Japan : The U.S. National Archives and Records Administration |
大手前大学 メディア・芸術学部 准教授 玉田 浩之 |
本研究は、米国の国立公文書館が所蔵する占領期写真のデータベース化に取り組むものである。占領軍が撮影した日本の写真は、戦後の都市空間を明らかにする資料として貴重であるにもかかわらず、米国にあるため、アクセスしにくい資料のひとつといえる。また、日本に関する写真資料の量が膨大なだけでなく、インデックスカードによる検索が必要なため、目的の資料に辿り着くのも容易ではない。米国公文書館所蔵の写真資料を見やすく使いやすくするためには何が必要なのか、占領期の都市空間に有効なアーカイブの在り方について検証する必要がある。 本研究は、これまで収集してきた占領期日本の写真資料を整理し、情報技術を駆使して蓄積・共有化を図ることを目的とする。本研究により、占領期日本の写真情報を蓄積していく場が構築され、占領期日本の都市空間研究を促すことが期待される。 |
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舞鶴市糸井文庫蔵浦島伝説関連資料の基礎的研究 A basic Study on Primary Sources related to Urashima Legend in the possession of Itoi Bunko Library in Maizuru City |
舞鶴工業高等専門学校 人文科学部門 准教授 畑 恵里子 |
浦島伝説には補完すべき課題がある。近世享受の解明である。それによって、古代の伝説が近世に大衆化し、現在も認知度の高い作品たりえた背景を解明することが可能である。それに、異界が鍵となる本伝説の分析は、日本文化史の解明に有効的である。 そこで本研究では、舞鶴市糸井文庫における未整理の浦島資料へ翻刻・現代語訳・英訳という基礎的作業を集中的に行い、異界表現の語彙の分析から宗教感覚の一端を解明することを主な目的とする。 特に、アート・リサーチセンターのシステムにおける舞鶴市糸井文庫閲覧システムを対象として、新規に翻刻した資料のWEB公開を通じて、国内外の研究者や一般国民に資するようにする。 |
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花供養と近世後期京都俳諧の研究 A Study on Kyoto-Haikai through the 18th and 19th Centuries Concerning Hanakuyo |
立命館大学 非常勤講師 竹内 千代子 |
京都東山の芭蕉堂で毎年のごとく発刊された『花供養』を全冊にわたって翻刻し、近世後期の京都および全国の俳諧の実態を明らかにする。同資料は、近世後期のおよそ100年間、作者はおよそ全国に及ぶため、近世後期の日本、特に京都の俳諧史資料として有効である。このため、これによって江戸時代の俳諧と近代俳句との連続性あるいは非連続性の検証をおこなうことを目的とする。翻刻データは、すでに公開されている原本デジタル画像と同時に参照できるようにし、研究者間の共有を図る。2017年度より、対象を『花供養』以外の芭蕉顕彰資料に広げており、当年度も引き続き調査を実施するほか、必要に応じてデジタル化を実施する。 |
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近代木版口絵のデジタル研究環境基盤整備 Infrastructure Development of Digital Research Environment for Modern Woodblock-printed Kuchi-e (Frontispieces) |
口絵研究家 朝日 智雄 |
本研究は、口絵イメージデータベースおよび口絵総合データベースを構築し、同資料のデジタル研究環境基盤整備に取り組むものである。明治中期から末期にかけてのある特定分野の書物には、高確率で木版多色摺口絵を確認することができる。これらは同時代の出版や読書文化を窺い知ることができる貴重な資源であるにも関わらず、その形態的特性ゆえの扱いづらさから、いずれの研究分野からも敬遠されてきた。以上の背景を踏まえ、本研究は、近代木版口絵の最大級コレクション・朝日コレクションを中心に他機関所蔵資料についてもイメージデータベースとして公開し、その学術的価値の再検討を通じて、同資料を人文学研究の俎上に載せることを目的とする。今年度は、研究代表者が蒐集した数千点の口絵のイメージデータベース化と、総合データベースを作成することに集中的に取り組む。 |
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黎明期広告業界誌『プレスアルト』広告現物の研究 Study on advertising materials that early advertisement trade journal "Press Art" distributed (Frontispieces) |
同志社大学 社会学部 教授 竹内 幸絵 |
本研究は昭和12(1937)年に広告現物の頒布を目的に京都で創刊された広告業界誌『プレスアルト』の調査とデータベース化によって、広告表現を時代意識の有力な証言者と位置付けた探究に資することを目指すものである。同誌は戦時5年の停止期をはさみ昭和61(1986)年まで、およそ45年間月刊で発刊された。発行部数が極めて少なく幻の存在だったが、334号分、およそ6千点に及ぶ広告現物のほぼ全てが発行人遺族宅にて発見された。同時期の広告現物資料としては比肩する類例がないこれらを、本研究で調査しデジタルデータベース化する。付属冊子に記載の発行年、印刷種別、制作経緯等とあわせみる事が可能な形式を構築し、社会学・デザイン史・写真史・メディア史といった多方向からの学際的なアプローチが可能な広告史探究資料となることを目指す。 |
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尾上松之助主演「実録忠臣蔵」(大正15年公開)スチール写真等のデジタル化・画像公開 |
尾上松之助遺品保存会 代表 松野 吉孝 |
昨年度取り組んだ、「尾上松之助・絵葉書ブロマイド・大入り袋入り・40作品のデジタル化・画像公開」に引き続き、日本映画草創期に「目玉の松ちゃん」の愛称で慕われ、1000本もの作品に主演した「日本映画初の大スター・尾上松之助」の「遺品・資料」のデジタル化に取り組むもの。 既に、今後継続的に公開するため、「尾上松之助遺品保存会」と「学校法人立命館」との間で、「尾上松之助遺品保存会コレクションのデジタル写真およびデジタル資産の運用に関する覚書」を締結済み(平成30年5月14日付)にて、目下、その受け皿となる「目玉の松ちゃん・尾上松之助 活動写真デジタル資料館」の立ち上げ準備中。今年度公開を目指す「実録忠臣蔵」(大正15年公開)は、松之助最晩年の大作で、平成28年その完全版フィルムが発見され大きな話題となった作品。京都国際映画祭、東京国際映画祭のほか、海外でも取り上げられていることから、その資料価値は大きいものと考える。 今後更に「松之助所縁の鎧」「犬養毅から贈られた、緞帳目録」等「遺品実物」のデジタル化にも取り組む。 |
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国立音楽大学附属図書館所蔵 『竹内道敬文庫』デジタル・アーカイブの公開と研究活用 Research for the publication and utilization of digital archive of “The Takeuchi Michitaka Collection”, belong to Kunitachi College of Music Library |
国立音楽大学附属図書館 館長 古川 聡 |
竹内道敬文庫は、近世邦楽研究者で国立音楽大学でも教鞭を取っていた竹内道敬先生からご寄贈頂いたコレクション。内容は、江戸時代以降の歌舞伎や三味線音楽に関わる錦絵や正本、番付など総点数12,000点以上に及ぶものである。 当館では今までこれら資料を整理し、冊子目録を刊行してきたが、資料のより一層の活用と当館からの情報発信をめざし、錦絵約1,500点を完全デジタル化して目録情報とともにアーカイブとして公開したい。 アーカイブ構築にあたっては、資料の高品質のデジタル化、及びアーカイブ公開のためのプラットフォームとデータの維持管理が大きな課題であり、貴大学の「日本文化資源デジタル・アーカイブ研究拠点」事業との連携が不可欠であると考える。 |
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Geographical Database of Urban-Rural Spatial-Temporal Analysis |
京都大学東南アジア地域研究研究所 教授 原 正一郎 |
The construction of this database aims to contribute to the time-spatial analysis of urban and rural areas using spatialised data from different sources and formats. This database will be prepared in order to receive in the future data from urban-rural areas from different world regions, that could allow comparative analyses, starting with the collection of data about Kyoto city and Kyoto prefecture. The database construction started with the preparation of a mosaic of georeferenced aerial photos of Kyoto city from two different periods (first period: 1947-1948; second period: 1961-1963-1967). By using these mosaics as a working base, data about the infrastructure, built area density and socio-economic-demographic aspects will be analysed. The results of these analyses will be displayed through an analytical cartography that will show, for example, how urban expansion is related to the changes in population profile and how the infrastructural evolution impacts rural areas. One of the focuses of this analysis will be to look at the transformations of cultural environments by taking into consideration the changes in the regional value of landscapes. |
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機械学習による型紙画像分類の自動化 Multi-Label Classification of Stencil Images in the Katagami Database |
学習院大学計算機センター 教授 久保山 哲二 |
立命館大学アート・リサーチセンターで公開されている型紙データベースでは、型紙画像が「花」や「幾何学」などの複数のラベルにより分類されており、この分類項目に基づく検索手段を提供している。これまで、型紙画像の分類は、型紙に対して十分な知識を有する専門家が、分類の揺れや一貫性を考慮しつつ行っており、これがデータベース構築のスピードアップを妨げる一因となっている。 本研究では、これまでの専門家による画像分類を教師データとして、機械学習手法により分類を自動化することを目的とする。昨年度の研究で、現状のデータ規模と深層学習による従来手法では認識精度が十分に得られないことがわかった。一般の自然画像と異なり、細部のテクスチャが存在しないことが一因と考えられる。本年度は線画認識の技術的な知見等も取り入れて、この問題に取り組み、分類の精度の向上とデータベース構築のスピードアップを図るものである。 |
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市民が作った雑誌『京都TOMORROW』のデジタル・アーカイブ化 Digitalizing & Archiving of the Journal “KYOTO TOMORROW” Published by Citizens |
同志社大学社会学部メディア学科 教授 小黒 純 |
本研究は1988年から2003年にかけて、京都に拠点を置く学者、弁護士、科学者、市民運動家らが、社会の諸問題を、市民の視線で捉え直し、議論を深め、発信し続けた、手作りの雑誌『京都TOMORROW』約50号を対象にする。「京都の市民による、市民のための雑誌」として、特定のイデオロギーに偏らず、高齢者ら社会的弱者を包摂するベクトルで編集された。この編集方針に共鳴した、著名な文化人が数多く寄稿した。「多事争論」を信条とした、先駆的な雑誌だったと言える。 紙媒体の雑誌として現在すでに稀少性があり、著名な文化人の言説を記録した、貴重な日本・京都の文化資源として、デジタルアーカイブ化が急がれる。内容を調査し、データベース化すれば、社会運動研究やジャーナリズム研究だけでなく、社会学、政治学、行政学、社会福祉学、メディア研究論といった、学際的なアプローチが可能となる。 |
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もうひとつの京舞「篠塚流」、その歴史と独自舞踊および音曲の記録検証 Shinozuka School ‘Kyō-mai’ Dance: Documenting and Preserving its History, and Music and Dance Forms |
立命館大学 国際関係学部 准教授 Scott P. Koga-Browes |
現在、京舞といえば井上流が名高く資料も多いが、京舞にはもう一つの流派「篠塚流」が現在も受け継がれている。 興りは井上流とほぼ同時期の220年程前、三世中村歌右衛門の振付師であった篠塚梅扇(文三郎)が初代家元となり、江戸中期から明治にかけて京の町では「篠塚流」が盛んに舞われていた。三代目の不埒から一時断絶するも、昭和38年に5代目梅扇により復興。 京都祇園祭の「小町踊り」奉納はじめ、上賀茂神社「観月祭」、二条城オペラ参加など国際的にも評価を高めているが、残念ながら近年の資料が分散している。高齢となられた現お家元から歴史を聞き取り、独自の音曲や詞を掘り起こし、踊りをモーションで記録するなどし、貴重な京都文化遺産を失う前に保存すべきと考える。 |
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法政大学図書館所蔵の正岡子規文庫資料のデジタル化およびアーカイブ上での公開 Digitization of “The Masaoka Shiki Collection” belong to Hosei University Library and publication on archive |
法政大学文学部日本文学科 教授 中丸 宣明 |
法政大学図書館の所蔵の貴重書「正岡子規文庫」のうち資料価値の高いものを撮影・デジタルデータ化し、「法政大学図書館デジタルアーカイブ」上で公開する。「正岡子規文庫」は、俳人正岡子規の旧蔵書のうち和漢籍や自筆ノート等約2100点からなり、1949年に法政大学へ寄贈されたものである。 これまで図書館の事業として、すでにデジタルアーカイブサイト構築に取り組んでおり、現在「正岡子規文庫」を含めた貴重資料325点20,836カットが公開中である。 2018年度においては、正岡子規文庫資料のうち、特に資料価値の高いものを当該共同研究において精査し、約7,200カットをデジタル化し、アーカイブに追加・公開し、正岡子規研究の更なる発展に寄与したい。 |
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データベース「20世紀のテレビCMデータベース」の公開と活用 Research for the publication and utilization of digital database “TVCM of the 20th century” |
茨城大学人文社会科学部 教授 高野 光平 |
本研究課題は、立命館大学アート・リサーチセンター内に構築された映像データベース「20世紀のテレビCMデータベース」を研究者に公開し、幅広く研究活用を支援するものである。本データベースは、株式会社TCJと日本アド・コンテンツ制作社連盟から貸与を受け、ハイスピリット株式会社とさがスタジオ(いずれも解散)から寄贈を受けた、1950~1990年代制作の日本のテレビCM約15,000本から成る。研究代表者および研究分担者は、本データベースの運営管理、閲覧希望者の審査、閲覧者へのアドバイスなどを行う一方で、社会学、メディア史、戦後日本文化史等の観点から自らも本データベースを研究に活用する。 |
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「京都ニュース」の保存と活用プロジェクト "Kyoto News" preservation and utilization project |
一般社団法人京都映画芸術文化研究所(おもちゃ映画ミュージアム) 代表理事 太田 米男 |
1956年から1994年まで京都市広報局が制作し、市中の映画館で上映された「京都ニュース」。京都市歴史資料館に保管されている全244作品(全残存547巻)の画・音ネガ原版と、その原版からプリントされた16㎜フィルム(約同数の上映プリント)が立命館大学アートリサーチセンターに寄託保存されている。これらの内容を把握することで「京都ニュース」の全容を解明する。この映画のデジタル化は、現在1970年までの70本にとどまり、残り174本が未作業のままである。各号により4~5のトピックがあり、1200以上の題材が記録撮影されている。これらの映像は、高度成長期からバブル崩壊期まで、京都における市政活動や施策、都市開発による景観の変容、折々の世相や出来事、市民生活、祭事など、全容を把握することで、「京都学」の見地のみならず、各分野からの学術的なアプローチや研究素材としての価値が大きいと考えている。京都市による全ニュース映像のデジタル化に向けて、データベース化を進めることは重要な調査機会と考えている。 |
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