No. | 研究課題名/研究代表者所属・職名・氏名/概要(研究課題名をクリックすると表示) |
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祇園祭に関連する映像資料のデジタル・アーカイブとデータベース構築に関する総合的研究 A comprehensive study on digital archive and database creation of video and picture materials related to Gion festival |
頴川美術館 学芸員 八反 裕太郎 |
本研究では、京都祇園祭に関する写真や動画フィルムなど映像資料をデジタル・アーカイブし、データベースで公開を行う。立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵する祇園祭に関する映像資料を精細に分析するとともに、未整理・新出の映像資料(個人蔵)をデジタル化し、アート・リサーチセンター所蔵資料と合わせ、さらに幅広い分析を行う。また、1978(昭和53)年刊行の『写真記録祇園祭』(祇園祭山鉾連合会)は祇園祭の歴史や変遷を写真より纏めた成果として貴重である。市民から写真を募り、本書の編集作業に携わった京都市職員(当時)の島田崇志氏が所有する約500枚の写真は未整理であり、本書から漏れた写真も多い。特に武者行列や祇園ねりものは現在廃絶された祭儀であり、それらを活写した写真や当時の祭礼の景観は極めて貴重である。これらをデジタル・アーカイブし、データベースを構築することで、国内外の多くの方々に供することを目指す。 |
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近世近代期京都の地誌・案内記を対象としたデジタルアトラスの構築 Construction of a Digital Atlas of Topographic Documents and Guidebooks in the Early Modern Period and Modern Period of Kyoto |
徳島大学大学院総合科学研究部 准教授 塚本 章宏 |
本研究課題は、近世から近代への移行期の京都における、あらゆる職種に関する人物・住所情報が記載された地誌・案内記類のデジタルアーカイブを進め、産業の立地や集積の地理的分布とその変遷を明らかにするためのデータ基盤構築を目指すものである。地誌・案内記類の画像データベースと、地理情報システム(GIS)の管理・分析機能と連携させることで、オンライン上で近世近代期の京都における主要産業のGIS地図と原資料の画像を閲覧することができる仕組みを構築することを目指している。2014~2016年度までの共同研究の成果では、この仕組みは一部の資料に限られており、今後は、これまで整備してきたコンテンツをこのシステム上に拡張していく計画である。また、これまでの成果を活用した、近世近代の京都の地名を交差点レベルで半自動的にマッピングするシステムの構築・公開にも取り組む。 本研究課題は、デジタル・ヒューマニティーズ研究における重要な研究基盤、研究事例としても期待される。 。 |
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京都を起点とした染色技術及びデザインのグローバルな展開に関する研究 Research of Kyoto-based Global Development of Printing Techniques and Designs |
日本学術振興会 RPD 加茂 瑞穂 |
これまでの研究課題「デジタル・アーカイブ手法を用いた近代染織資料の整理と活用」と、それに関係した研究プロジェクトにより、学術資料として俎上に上がっていない近代染織史に関連する資料の整理・蓄積が進み、それによって、伝統的地場産業と位置付けられてきた京都の染織のグローバルな展開―近代以降の西洋技術・デザインの導入だけではなく、戦前から始まるアジア・アフリカへの製品輸出・海外事業展開も含む―が明らかになってきた。 そこで、研究課題の新しい段階として、近代京都を起点として染色産業がどのように国内外へ展開されてきたのか、あるいは影響を受けてきたのかを染色技術やデザインを通じて明らかにする。具体的には、京都の近代染織、アフリカン・プリント、伊勢型紙、バティック等をデジタル・アーカイブ化することにより可視化し、デザイン・技術の世界的連環を解明する。 |
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演劇上演記録データベースを活用した、演劇資料画像検索閲覧システムの構築に関る研究 |
公益財団法人松竹大谷図書館 主任司書 武藤 祥子 |
松竹大谷図書館は、開館以来演劇資料整理の基礎となる演劇上演記録を作成してきた。この上演記録は、主に明治初年から戦前までの東京の記録と、戦後の各地の大劇場、及び東京の小劇場の記録である。これまでの研究では、これらの記録を完全にデータベースに移行し、考証を進めてデータの精度を上げてきた。今後は日本演劇の研究と資料整理の基礎となるこの上演記録データベースを基に、立命館大学アート・リサーチセンターとの共同研究により、所蔵資料のデジタル画像化を進め、検索閲覧システムを構築し、Web公開を進めることを課題としている。 |
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ARCデータベースを利用した博物館アーカイブスの整理および情報公開に関する研究
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大英博物館 アジア部日本セクション長 Timothy CLARK |
大英博物館では、2007年度よりはじめられた立命館大学ARCとの共同プロジェクトにおいて所蔵作品のデジタルアーカイブ化を効率よくすすめてきた。一方で、当館には所蔵作品に関連するアーカイブス資料が多く残されており、その整理と公開方法についてはまだ課題が多い。特に近年寄贈されたロジャー・キーズ氏の北斎一枚摺のカタログ・レゾネをはじめ19世紀から博物館に保管されているフランクスのアーカイブ資料など歴史的、資料的価値が非常に高いものについては、早急な資料公開が望まれている。本プロジェクトでは、立命館大学ARCの日本美術品アーカイブ活動の成果を応用しながら博物館アーカイブスのデジタル化、研究利用しやすい形での情報公開を目指す。 |
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Archiving and Utilization of Japanese Performing Arts Materials on GloPAD(Global Performing Arts Database)and JPARC(Japanese Performing Arts Resource Center) |
Associate Professor, Department chair, Department of East Asian Languages and Cultural Studies, University of California at Santa Barbara Katherine SALTZMAN-LI |
To develop the Global Performing Arts website, database (GloPAD), and its Japan Performing Arts Resource Center (JPARC), we have aimed at a general overhaul and upgrade. This multi-step project first involved assessment and reevaluation of existing material and of the database system. It led to building a new GloPAC entrance portal and to a complete reorganization of the JPARC site. During 2014 and 2015 we developed new tools and content: we worked with ARC to build a system for enabling multi-lingual, multi-media interactive drama texts; we held teacher-student mini-courses to develop portals; and we staged conferences with guest performers. Videos taken at these were edited, subtitled and prepared for integrating them into web pages. In 2016 we have focused on building content pages and launching the new JPARC site. Twice our leader from Santa Barbara has done residencies at ARC, greatly accelerating important decisions and implementation. ARC has been instrumental in providing knowhow and platforms to enable this work. Cornell has backed up the renewal with technical expertise and editing during the workflow. |
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ARC古典籍データベースを利用した近世版本における「版(edition)」の変遷に関する研究 |
ロンドン大学SOAS リサーチアシスタント 松葉 涼子 |
本研究ではARC古典籍データベースを利用して、近世版本の版の変遷について整理することを目指す。 版本の板木は、何度も刷られる内に痛みがはげしくなり、また何らかの理由で損傷したり、内容を書き換えなければいけなかったりなど、修訂がほどこされることもあって、浮世絵などと同様に、状態を慎重に見比べることによって初印本と後印本の違いがわかる。現在ARCの古典籍閲覧システムでは、継続的にすすめられているデジタル・アーカイブ活動によって画像が随時蓄積されており、特に『北斎漫画』『富嶽百景』などの絵手本は大量の事例がみられる。データベースの画像情報を利用しながら同じ版本での版の違いを詳しく見比べられるようなシステムがあれば、版面の変化から出版過程をたどっていくことができる。以上をもとに近世出版文化の重要な側面である版の変遷について明らかにしていきたい。 |
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金字経の単一画像超解像による解析とデータベースの構築; 立命館大学アート・リサーチセンター所蔵藤井永観文庫を中心として An Analysis and a Database Construction of Old Japanese Golden Manuscripts of Buddhist Scriptures using Single Image Super-resolution ; Focusing on the Fujii Eikan Bunko Collection stored by the Art Research Center |
岡山大学大学院自然科学研究科 講師 相田 敏明 |
本研究は、藤井永観文庫の所蔵品を中心として、「紺紙金字経」を情報工学と美術史学の複眼的な視点から調査研究することにより、料紙調達から奉納までの公/私人の営みや、世/俗を往来する図像イメージの相関、およびそれらの分析を通じて「紺紙金字経」の文化史的な意義を明らかにすることを目的とする。 とくに、12世紀第3四半期までに制作された「紺紙金字経」は、料紙に隠れた墨書・墨字・墨印を有し、見返し(表紙裏)に金銀泥の経絵を描くことが少なくない。施設内に整えられた環境を最大限生かし、近赤外線による高精細デジタル撮影を行い、墨書等の検出された作品について、単一画像超解像により画像データを解析し、データベース化することにより、写経を担った人々の動きを質的/量的に解明してゆく。 またその見返し絵を、オープンデータ化されている絵巻物の各種アーカイブズとも関連づけ、デジタル絵引を構築することで、仏教絵画と世俗画を行き来する視覚イメージの様相を提示してゆく。 |
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近代から戦後京都における「都市整備」の「京町家の暮らし」への影響に関する研究 Study on effects of urban improvement on livelihood in Kyo-machiya in the modern and postwar Kyoto |
関西学院大学総合政策学部 契約助手 高橋 彰 |
本研究は近代から戦後京都における「京町家の暮らし」と「都市整備」に関する資料を収集し、戦後京都の記憶と合わせてアーカイブするものである。京町家の保全策は多岐にわたり実施されているが、文化財的、景観的な側面での取り組みが多く、京町家の中で育まれてきた伝統的な「京町家の暮らし」の保全・継承については、個々の家に委ねられていることで具体的な支援策が十分に検討されずにいる。また、その「暮らし」は近代以降の「都市整備」による電気、ガス、上下水道など整備の影響を大きく受けていると考えられるが、「京町家の暮らし」と「都市整備」の相互の関係はあまり論じられていない。そこで、本研究では、近代からの「都市整備」による都市生活の変化が「京町家の暮らし」にどのように影響を与えたかを検討するため、「暮らし」と「都市整備」に関する資料収集と整理を進めつつ、関係する住民(高齢者)への聞き取りを通して記憶を収集、蓄積する場を構築する。蓄積された資料と記憶をGIS(地理情報、古地図)上でデジタルに共有化することで、地域の歴史を学習する場となり、京都のまちづくりやコミュニティの形成の一助となると考えられる。 |
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芳賀矢一『日本人名辞典』からの歴史人物情報の抽出および情報構造化 Extracting Personal Information of Historical Persons from "Nihon Jinmei JIten" and Creating Structured Data |
尾道市立大学 経済情報学部 講師 木村 文則 |
日本の歴史研究を行うにあたり、最も基盤となる情報の一つとして人名があげられる。現在国立国会図書館が人名典拠情報を提供しているが、書籍など限られた人名になっており、歴史上の人物を広く網羅できているわけではない。そこで、約50000人の人名を収録し、かつ著作権が切れている芳賀矢一編『日本人名辞典』(以下,『芳賀人名辞典』)を活用した人名データを作成することで、広く歴史的人名の基礎状況を提供することができる。 このデータは、機械可読であることが情報基盤の最大の条件であるので、Linked Dataとして情報を記録し、データベースへと格納する。これにより,格納された情報の意味を表現できるとともに、他のデータベースの情報とのリンクが容易となり、日本史をはじめとする諸研究の促進が期待される。 |
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浮世絵と絵本・絵入り本にみる近世画題研究 |
アート・リサーチセンター 客員協力研究員 中村 惠美 |
本研究は、アート・リサーチセンターの浮世絵ポータルデータベース、古典籍ポータルデータベースを研究基盤として、版画を含む近世絵画の画題について調査研究し、その成果をやはりアート・リサーチセンターが提供する画題Wikiシステムに搭載することで、広く情報発信する。本研究では、とくに浮世絵版画がその対象となり、この分野においては、現行の最大の成果である鈴木重三氏による『原色浮世絵百科大事典 第四巻 画題事典』の成果を少しでも前進させるとともに、この分野の研究環境を海外の研究者も活用しやすいオンライン型に転じることを目指す。 |
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歌舞伎デジタル博物館構築(韓国語) Development of Kabuki digital Museum(KOREAN) |
高麗大学校 GLOBAL 日本研究院 研究教授 片 龍雨 |
歌舞伎は、2009年にユネスコの無形文化遺産に指定されるなど日本を代表する伝統文化である。 日本文化への関心が世界的に高まるにつれ、歌舞伎の知識にアクセスしようとする外国からの要求も増えている。本研究は、立命館大学ARCが構築を進めている「歌舞伎デジタル博物館」の韓国語サービスを立ち上げることを目指す。韓国における日本伝統文化の研究は、一部の研究者により行われ、さらに文楽や能に偏っている。 「歌舞伎デジタル博物館」の韓国語サービスは、韓国の研究者に的確な歌舞伎知識を提供するとともに、一般市民にも歌舞伎のことを知ってもらうためのツールになると期待される。 |
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