No. | 研究課題名/研究代表者所属・職名・氏名/概要(研究課題名をクリックすると表示) |
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デジタル・アーカイブ手法を用いた近代染織資料の整理と活用 Organization and Utilization of Modern Printed Textile Research Materials through the Method of Digital Archiving |
京都女子大学 家政学部・准教授 青木 美保子 |
本研究は、学術資料として俎上に上がっていない近代染織史に関連する資料の整理・蓄積をすすめるものである。近代染織史を研究するための資料は散在し、かつ未整理のものが大半であり、基礎的な資料調査が必要不可欠な段階にある。一方、近代の染織産業については聞き取り調査も研究手法の有効な手段であり、文献資料には残らない情報を収集することができる。そこで、本研究では、近代染織研究に必要な資料整理や調査を進めつつ、資料・情報を蓄積していく場を構築し、情報技術を駆使してその共有化を進める。この資料・情報の整理・蓄積・共有化は、染織研究関係者と染織業従事者へ新たな交流の場を提供することとなり、延いては染織業の活性化を模索する足掛かりとなるであろう。 |
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浮世絵データベースシステムを応用した浮世絵の新研究 Applied approach using the ARC Ukiyo-e Database system |
立命館大学 衣笠総合研究機構・客員研究員 岩切 友里子 |
浮世絵専門のイメージ・データベースとして、世界を代表するものに赤間のアート・リサーチセンター浮世絵データベースとジョン・レシグのJapanese Woodblock Print Searchがある。浮世絵データベースシステム開発のキーマン2人と、浮世絵専門研究者による新たな研究データベースを開発する。 本課題がイメージする研究データベースは、カタログレゾネの日常的な蓄積を可能とする応用的な展開を目指すもので、これによって、データベースから絵師別カタログ、役者別カタログを動的に構築する仕組みを確立する。具体的には、役者は、八代目市川団十郎、絵師は、芳年、国芳、ならびにRoger Keyesカタログによる、北斎カタログのデータベース化を実現する。2017年度に開催される大英博物館での北斎展の準備に結びつけられる実用システムを完成させる。 |
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京坂地域における相撲浮世絵の研究 A Study of Sumo Prints in Kyoto-Osaka Area |
東京国立美術館 大久保 範子 |
江戸時代、相撲は庶民の娯楽として全国的な人気を誇り、興行制度が完成した天明・寛政期(1781-1801)には同じく黄金期を迎えた錦絵によって多くの力士が浮世絵にあらわされたものの、その研究はほとんど行われてこなかった。当時の勧進相撲興行は江戸・大坂・京都の三都を巡るものであったが、江戸以外の資料は少なく、京坂地域における相撲興行の様相については未詳な点が多い。申請者はこれまで江戸で制作された相撲絵を中心に調査を行っており、アート・リサーチセンターがもつ京都をはじめとした番付等の資料データを活用することで、制作時期や絵師についてのさらなる調査や、同一期に制作された作品群に関する研究の深化が可能になると考える。 |
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「洛中洛外図屏風」WEBプラットフォームの構築 Developing a WebGIS-based Application for Comparative Study of Folding Screens of Rakuchu rakugai-zu (Scenes in and around Kyoto) |
凸版印刷株式会社 文化事業推進本部 奥窪 宏太 |
近年、「洛中洛外図屏風」の高精細なデジタル画像が取得され Web で公開されることにより、様々な研究分野からの学際的な研究が大きく進展している。そうした展開は、デジタル・ヒューマニティーズの好例といえるが、それをさらに促進するためには、単独の閲覧システムだけでなく、複数の同屏風を比較し、また地図や絵図とも比較可能とする Web システムの構築が必要である。 本研究では、GIS ベースのインタフェースを活用することによって、複数の屏風や地図を同時に拡大・縮小、移動させることができるように同期させた Web プラットフォームを提案し、同屏風を活用した研究促進や一般公開も見据えたそのユーザビリティについて検証を行う。 |
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浮世絵技法の復元的研究のための光計測・画像解析基盤技術の創出 Development of optical imaging and analysis methods for restoration study of ukiyo-e print |
徳島大学 大学院理工学研究科・特任講師 南川 丈夫 |
浮世絵は、江戸時代に発展した多色摺木版画であり、現在では日本を代表する伝統美術として伝えられている。しかし、浮世絵の版木は、仮に現存する場合であっても、摺り工程による摩耗等により、木版画の再現が不能なほど劣化している事が多い。また、浮世絵の伝統技法は主 に直伝で受け継がれてきたため、浮世絵の製作手法や使用した材料が現在では不明であることが多 い。そこで、本研究では、版木および版画を光計測・画像解析技術を駆使して科学的に分析することで、当時の浮世絵の製作手法や材料 の再現による伝統技術の復元するための基盤技術の創出を目指 す。本研究は、光計測、情報処理、木版研究、版木修復、浮世絵研究の専門家と浮世絵職人の産学・文理融合型のチームで推進する。 |
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演劇上演記録のデータ・ベース化と活用、ならびに汎用利用システム構築に関る研究 |
公益財団法人 松竹大谷図書館 武藤 祥子 |
松竹大谷図書館は、開館以来、演劇史や演劇資料整理の基礎となる演劇上演記録を作成してきた。この上演記録は、主に明治初年から戦前までの東京の記録と、戦後の各地の大劇場、及び東京の小劇場の記録である。これらの上演記録は、元々図書カードによって整理されていたもので、これを完全にデータベースに移行しつつ、不完全な情報については、資料の原典に当たるなど精緻化、考証を進めてデータの精度を上げ、日本演劇の研究と資料整理の基礎となる上演記録データベースを構築する。 |
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富本憲吉とバーナード・リーチ往復書簡の研究-京都市立芸術大学所蔵資料を中心に Research on Letters Exchanged Between Tomimoto Kenkichi and Bernard Leach: Tomimoto Kenkichi Archive in the Collection of Kyoto City University of Arts |
京都市立芸術大学 美術学部・准教授 森野 彰人 |
富本憲吉(1886-1963)は「色絵磁器」で第1回の重要無形文化財保持者に認定され、文化勲章を受章した陶芸家である。京都市立芸術大学の前身である京都市立美術大学において教授・学長も務め、20世紀を代表する多数の芸術家を育成したことでも知られている。2013年、京都市立芸術大学は富本憲吉記念館(奈良県安堵町)から富本憲吉関連資料の寄贈(940件)をうけた。本研究では、同資料中の富本と英国人陶芸家バーナード・リーチ(1887-1979)の間で交わされた書簡のデジタル画像を用い、画像データベースを構築、それをもとに研究を行う。20世紀の日本と英国を代表する陶芸家のやりとりを翻刻・研究し、画像及び研究成果をデータベース上で公開することにより、日英の美術工芸史に新たな成果・手法を提示する。 |
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Frederick W. Gookin (1853-1936) and His Roles in the Western Receptions of Japanese Woodblock Prints |
Professor and Chair, Section for East Asian Art History, University of Zurich Hans Bjarne Thomsen |
Frederick W. Gookin was a tremendously influential scholar, curator, and consultant on Japanese woodblock prints. There are traces of his writings and activities in a large number of archives and public institutions. He was one of the earliest promoters of prints, and together with the architect Frank Lloyd Wright (a close collaborator of Gookin) helped to form and direct many of the leading collections of the early 20th century. He was, for example, a leading voice in the collection of Clarance and Kate Buckingham and and the Spaulding Brothers (now in the Chicago Art Institute and the Boston MFA, respectively). His network of contacts spread across the world, there exists, for example, a collection of his correspondence with the kabuki scholar Ihara Toshiro, the author of Kabuki nenpyo. He was a born letter writer and educator and his letters are very informative and tell much about the state of woodblock print studies and research in the beginning of the 20th century. In short, he was important in the exhibition, the collection, dealing, and the conservation of Japanese prints, and helped to educate entire generations of collector and museum professionals.
The project aims to gather the letters and unpublished materials left by Gookin and his correspondents and to gather them into a database and webpage innorder to fascilitate undersrtanding and future research on this key figure in the Western reception of Japanese woodblock prints. |
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ARC所蔵「酒呑童子絵巻」をめぐる大江山伝説の総合的研究 The comprehensive research for Oheyama legend using Shutendoji-handscroll in ARC |
Lecturer, Japanese art history, the Anglo-American University and Charles University in Prague Helena Honcoopova |
2014年度にARCが購入したウイリアムス・スターシス・ビゲロー旧蔵「酒呑童子絵巻」は、数奇な運命を経て、京都に里帰りした。この絵巻がなぜ、ボストン美術館に収蔵されず、アメリカからヨーロッパでの戦時下をくぐり抜け、プラハに移動し、最終的にARCの所蔵となったのか、その経緯をさぐり、ビゲローコレクションの知られざる一面を明らかにする。 また、本絵巻は、5巻本であり、他の伝本よりも重厚な内容となっている。伝存する他の絵巻との比較により本絵巻の特徴を明らかにするとともに、新たな発見をも期待できる。さらには、本絵巻を中心にすえ、さまざまに変化していった大江山伝説の種々相ついても、分野を横断して明らかにしていきたい。 |
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Archiving and Utilization of Japanese Performing Arts Materials on GloPAD(Global Performing Arts Database)and JPARC(Japanese Performing Arts Resource Center) |
Associate Professor, East Asian Languages and Cultural Studies, University of California at Santa Barbara Katherine SALTZMAN-LI |
To develop the Global Performing Arts website, database (GloPAD), and Japan Resource Center (JPARC), we have aimed at a general overhaul and upgrading of the website. This involves 1) reorganizing the presentation of traditional performing arts on JPARC 2) building a system for enabling multi-lingual, multi-media interactive drama texts 3) launching teacher-student projects to develop portals; and 4) staging conferences with guest performers, videotaping parts, and then editing, subtitling and integrating these videos into web pages. Each aspect is designed to explore different possibilities that can be realized through the combined goals, efforts, and skills of the GloPAC and ARC teams. Groundwork laid in 2014 was developed during 2015 through building a new GloPAC and JPARC site [not yet open to the public], activating a system for interactive texts, and editing videos, as well as holding conferences and JPARC related college classes. Next year we hope to have the renewed GloPAC/JPARC ready for public viewing. |
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中世語彙画像対照データベースの構築に関する基礎研究 A Research on the Construction of a Database on Medieval Vocabulary and Its Visual Presentation |
Professor, Department of Linguistics, Languages and Cultures, University of Calgary X. Jie YANG |
デジタル環境の発達は、歴史や文学などの分野における古典の研究に新たな可能性と、かつてない課題をもたらした。本研究は、絵巻解読や研究の基礎環境を整えること目指し、画像と文字を融合し、双方向に行き来するというこれまで存在しなかった内容や様式の情報を作成しようとする。とりわけ同じテーマをめぐる詞書と画像という異なる表現媒体を併せ持つ絵巻の構成に着目し、中世の語彙と画像との対照を明らかにし、デジタル環境を用いる縦横に検索するリソースを研究者や絵巻の読者に提供する。 |
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