羅浮仙

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らふせん


画題

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解説

画題辞典

隋の開皇年中、趙師雄、羅浮山に遊び暮らし、将に林間の酒肆に入らんとし傍に窈窕たる一美人に會ふ、美人言清麗、芳香人を襲ふ.即ち相共に酒肆に入りて談笑して飲む一緑衣の童子あり、歌舞す、師雄興に入りて酒臥すること久し、已にして東方白きに至り、起きて見れば身は大梅樹の下にあり、即ち美人は梅の精たるを知る、爾来梅下美人を画きて羅浮仙となす。

張紀筆(水戸徳川候爵旧蔵)

唐寅筆(播州本間氏所蔵)

同  (川端玉雪氏所蔵)

伝如雪筆(宮本仲氏所蔵)

近代諸家の筆に至りては擧げて数ふべからず、前には山口素絢の筆に成るもの多く、近くに瀧和亭の画あり、又横山大観、木村武山、安田靭彦の作二三にして足らす。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

隋の開皇年中、趙師雄、羅浮山に遊ぶ、一日天甚だ寒く、肌も裂かれるやうなのに、師雄たまりかねて、何時も行く林間の一旗亭に入らんとした、日は既に暮れて薄衣のやうな夕の靄はほんのりと四囲を罩めた、師雄不図あたりを見ると、窈窕たる一佳人が立つてゐる薄化粧も美しく、身に軽い羅をまとひ、懇ろに師雄を招く、言葉づかひもしとやかに芳ばしい香があたりに漂ふ、師雄は導かるゝまゝに旗亭に入り、互に酒を酌み交し四方山の話を交へてゐると、緑衣の一童子が現はれ歌ひ且つ舞ふ、師雄は盃を重ねる中に、強か酩酊し、そのまゝ酔伏してしまつた、やがて東方漸く白み来り暁風冷かに身に迫るに目覚めてあたりを見れば、美人の姿はなく身は林中の梅樹のもとにあり、花は微白を呈して有明の月影に浮動するのであつた、美人は此の梅の精であつたのである。  (柳宗元―竜城録)

羅浮山は支那広東省恵州府にあり、二峰から成り一を羅山といひ一を浮山と称ふ、山中梅の名所であり、幽洞奇峰に富む幽邃の地とて晋から隋唐の間世を避けてここに留まるものも多かつた、山に延祥南楼等の古刹もある。

羅浮神仙を画いたもの少からず、主な作として伝はるもの左の如し。

張紀筆    水戸徳川侯旧蔵

唐寅筆    播州本田氏所蔵

伝如拙筆   宮本仲氏所蔵

岩佐勝以筆  小倉乃ぶ氏蔵

吉川霊華筆  霊華追悼集所載

横山大観筆  第六回院展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)


うめ「」の項を見よ。      

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)