絵合

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えあわせ


画題

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解説

画題辞典

絵合は貴族の遊戯なり、人数を左右に分ち、雙方より絵巻を出して其優劣を争うて楽しみとするなり、判者あり勝負を附す。藤原時代の公卿女房の間に行われたるものなり、後世には武家にてもてはやしたりと見えて、吾妻鏡などにも見えたり。源氏物語に「絵合」の巻あり、冷泉院の帝の御時、爾生の十日、清凍殿に於て弘徽殿の姫君と梅壺の姫君と、互に古の物語今の世の珍らかなること名高く故ある限りを撰び、画かしめたるを取出てゝ争ひしに、梅壷の方へは源氏の君より須磨明石のさすらえのうきを美しく絵にせしめしを持出てしめし給ひしかば、之にて梅壺の方の勝となりぬという。

古来図せらるゝ所多し、佐竹侯爵旧蔵に筆者不明の絵合図屏風あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

源氏物語』五十四帖の一、源氏三十一歳の時のことを記してゐる。宮中で絵合が行はれ源氏の養女である秋好と、頭の中将の女である弘徽殿女御との勝負となり、源氏の須磨の絵巻を出して秋好の勝となる、題名之に出づ

三月の十日の程なれば空もうらゝかにて、人の心も延び物おもしろき折なるに、内裏辺もさるべき節会どもの隙なれば、唯かやうの事どもにて、御かた/゙\くらし給ふを、おなじくは御覧じ所もまさりぬべくて、奉らんの御心つきて、いとわざと集め参らせ給へり、こなたかなたとさま/゙\多かり、物語絵はこまやかに、懐しさまさるめるを梅壷の御かたは、いにしへの物語名高くゆゑある限り、弘徽殿はその頃世に珍しくをかしき限を撰りて書かせ給へれば、うち見る目の今かしき花やかさは、いとこよなくまされり、うへの女房なども、よしあるかぎり、これはかれはなど定めあへるを、この頃のことにすめり、中宮も参らせ給へる頃にてかた/゙\御覧じて捨て難くおもほすことなれば、御行も怠りつゝ御覧ず、この人々とり/゙\に論ずるを聞召して左右とかた別たせ給ふ、梅壷の御方には平典待、侍従の内侍少将の命婦、右には大弐の典待、中将の命婦を只今は心にくき有職どもにて心々にあらそふ、口つきどもおかしく聞し召して、まづ物語の出来はじめの親なる竹取の翁に空穂の俊蔭を合せて争ふ。

この絢爛なる場面は源氏絵としての外に、単独でも画かれるが、住吉広輝筆藤裏葉との双幅が力作である。(蜂須賀侯爵家旧蔵)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)