玉葛

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たまかずら


画題

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解説

東洋画題綜覧

源氏の玉鬘の巻から取材した謡曲の名、諸国一見の僧が初瀬寺に詣でると、女が現はれて玉鬘の内侍が初瀬寺に詣で、右近といふ女にあひ源氏の許に伴うた昔語りなどし、やがて玉鬘の内侍現はれて昔を物語り、僧の回向によつて成仏する。

「げにや有りし世を猶夕顔の露の身の、消えにしあとは中々に、何なでしこの形見もうし、「あはれ思ひの玉葛、かけてもいざやしらざりし「心尽しの木の間の月、雲井のよそにいつしかと鄙の住居の憂きのみか、扨しも堪へてあるべき身を〽猶しをりつる人心の〽あらき浪風たちへだて〽たよりとなればはや舟に乗りおくれじと松浦がた唐土〈もろこし〉船をしたひしにこころぞかはる我はたゞ、うき島を漕ぎ離れとも行く方や、何くとまりと白波に、ひびきの灘もすぎ思ひにさはる方もなし、かくて都の内とても、我は憂きたる舟のうち、なほや憂き目を水鳥の陸にまどへる心地して、たづきもしらぬ身の程を、思ひ歎きて行きなやむ、足曳の大和路や、唐土までも聞ゆなる、はつせの寺に詣でつゝ。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)