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くり


画題

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解説

東洋画題綜覧

栗は殻斗科に属する落葉喬木で、山地に自生して居るが、用材となる為め又は果実を採る為めに栽培もしてゐる、自然に成育したものは三四丈から五六丈の高さになり、幹廻りは一尺八寸に達する、本州をはじめ四国九州から北海道の西半部では到る処見られる、葉は長楕円形で鋸歯があり、側脈の尖端が突出してゐる、幹は外皮が赭黒色であり、初めは滑かであるが、古木になると粗くなり縦に裂目が出て来る、五六月の頃丁度梅雨の頃に花を開く、花は枝の先に長さ八寸ばかり黄白色の房のやうに出て、初めは立つてゐるが、だん/\垂れ下る、此の房は大部分雄花であるが、よく見ると房の下部に丸く塊つてついてゐるのが雌花である、やがて結実し毬毛が裂けると褐色の革質の皮に包まれた果実を現はす、花が梅雨の頃咲く所から、梅雨の異名に『堕栗花』といふのがある。

栗といふ文字は、西の木と書きて西方浄土に便ありと行基菩薩の一生、杖にも此木を用ひ給ふとかや

世の人の見つけぬ花や軒の栗  芭蕉

栗はその樹容を画いたものよりは、果実を絵にしたものゝ方が多い。

牧谿筆    『栗柿図』  京都大徳寺蔵

宗達筆    『枝栗図』  山村耕花氏旧蔵

狩野元信筆  『栗の図』  波多野古渓氏旧蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)