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画題

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解説

東洋画題綜覧

太陽のこと、『日輪』、『金烏』、『陽烏』、『曜霊』、『鬱儀』などの異名がある、太陽を日といふこと新井白石の『東雅』には

日、ヒ、ヒは霊也、上古の時、凡そ物の霊なるを称してヒといふ、されば後に漢字を借用ひられしにも、霊の字を読んでヒとはいひしなり、旧事記には産霊の字、読でムスビとせられしを、古事記には産巣日〈むすび〉としるして読でムスビとせしが如き、即是日といふは霊の義なるが故なり

と太陽を霊物としてゐる、又、『大方広入如来智徳不思議経』には

たとへば日の須弥山に映ずるが故に、四洲の衆生、或は初出を見、或は日中と見、或は漸暮を見、或は初没を見、或は夜半を見、或は漸曙を見るが如し、たゞ一日輪のみなれども四天下の諸の衆生の見るに随ひ、各々不同なり、日に分別なし、たゞ山の蔽ふによりて、自然に四洲の見る所各々異るのみ、如来もまた爾り、一衆会に於て、或は如来の正覚を成ぜんとする、已に正覚を成せる、将に涅槃に入らんとする、已に涅槃に入れる、或は成仏已に十年を経たる、或は涅槃し已りて十年を経たるを見たてまつる、然れども仏は曽て異念分別なさず、衆生に由るが故に自然にこの種々の事ありて起るなり

と、太陽を仏に比してゐる。

太陽は言ふまでもなく太陽系の中心をなす天体の一つで、その表面の面積は地球の一万二千倍、容積は百三十万倍に当り摂氏六十度、光度は標準燭光の七万五千六百倍といふ、古来万物生成の根源とし、霊物として観られて来、こゝに種々の相となつて芸術にも表現せられて来たのである、従つてこれが描かれたものゝ如き全く枚挙に遑もない。

日輪を画いた画題にはいろ/\ある、左に主なるものを挙げる。各項(一品当朝指日高昇寿同日月朝天高唱朝天鶏鳴朝陽鳳凰旭日蒼松二見の浦)参照。

一品当朝 日輪に一羽の丹項を画く。

指日高昇 旭日に鷹を画く。

寿同日月 日と月と桃とを配す。

朝天高唱 旭日のもとに鶏の鳴く処を画く。

朝天鶏鳴 鶏の東天に向つて鳴く処を画く。

朝陽鳳凰 旭日の前に鳳凰を画く。

朝陽富嶽 富嶽に朝日を配した図。

旭日蒼松 松の間に旭日を画く。

旭日静波 波静かなる海、旭日之を照す図。

二見が浦 旭日に縁ある名所としてよく画かる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)