嵐山

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あらしやま


画題

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解説

画題辞典

嵐山は京都の北嵯峨にあり、洛外の第一勝と数えらる。大井川山麓を浸してその水清く、満山松多くして、蒼翠滴らんとす。昔亀山院の時、和州の嵐山に擬して千株の桜樹を植えたりとて、今に山上桜あり、桜の名所と数えられ、高雄の紅楓と対しては双幅として画かる。

村山龍平氏所蔵に長沢廬雪の筆あり、降って四条派諸家の作最も多く、近くは塩川文麟、日根対山、岸竹堂、橋本雅邦等の図あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

(一)嵐山は京都の北嵯峨にあつて、大堰川に臨んだ洛外第一の名勝、満山松の緑美しく、その昔、亀山院の御宇、吉野に擬して千株の桜を移してから、桜の名所となつた。

あらし山是もよしのやうつすらむ桜にかゝる滝の白糸    後宇多院御製

思ひ出づるひとも嵐の山のはにひとりぞ入りし有明の月  法印静賢

あらし山麓の花の梢までひとつにかゝる峰のしら雲     前大納言為氏

渡月橋のあたり風致殊に美しく、山上に大悲閣がある。古木高雄や栂尾紅葉と共に双幅などに画かれたものが多い。

円山応挙筆   『京洛名所絵巻』  紀州徳川家旧蔵

竹渓筆     『四季嵐山』    神戸田村家旧蔵

玉泉筆     『嵐山五景』     東本願寺旧蔵

長沢芦雪筆             村山竜平氏蔵

連山筆     『春景嵐山』     東本願寺旧蔵

一立斎広重筆            遠藤金太郎氏蔵

富田渓仙筆   『嵐峡夜雨』     第六回日本美術院出品

山口蓬春筆 『嵐山春雨』 青々会展出品

(二)謡曲の名、勅使嵐山に至つて神の奇特に逢ふことを骨子とし花の来歴を説き、名所の景を写し、君が代を祝する、春の祝言能として行はる。元安作、一節を引く、

「花守の、住むや嵐の山桜、雲も上なき梢かな、「千本に咲ける種なれや、「春も久しきけしきかな、「是は此嵐山の花を守る夫婦のものにて候ふなり、「それ円満十里の外なれば、花見の御幸なきまゝに、名におふ吉野の山桜、千本の花の種とりて、此嵐山に植ゑ置かれ、後の世までの例とかや、是とても君の恵かな、「げに頼もしや御影山、治まる御代の春の空、さも妙なれや九重の、内外に通ふ花車、轅も西にめぐる日の、影ゆく雲の嵐山、戸無瀬に落つる白波も散るかと見ゆる花の滝、盛久しき気色かな。  (嵐山)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)