国栖

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くず


画題

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解説

東洋画題綜覧

能の曲名、元清の作で、天武天皇の未だ大海人皇子と仰せられた頃、大友皇子の難を遁れて吉野山に入り給ふた処、追手の兵がなほも押し寄せて来るので蔵王権現、老人夫婦となつて現はれ、国栖川で鮎とる舟をうつ伏せにして皇子を隠し天女をして舞を奏せしめ御心を慰め奉るといふ筋、前シテ老翁、後シテ蔵王権現、ツレ老女、及び天女、子方帝、ワキ及ワキツレは以下の官人である、一節を引く。

「是はそも何と申したる御事にて候ふぞ、「是はよしある御方にて御座候ふが、間近き人におそはれ給ひ、是まで御忍びにて候ふ、何事も尉を頼み思し召さるゝとの御事にて候ふ、「扨によしある御方にて御座候ふか、幸ひ是は此尉が庵にて候ふ程に、御心安く御休みあらうずるにて候ふ、「いかに尉、面目もなき申し事にて候ヘども、此君二三日が程、供御を近づけ給はず候ふ、何にても供御にそなへ候へ、「其由姥に申さうずるにて候ふ、如何に姥聞いて有るか、此二三日が程供御を近づけ給はず候ふとの御事なり、何にても供御に奉り給へ、「折節是に摘みたる根芹の候ふ「それこそ日本一の事、我等もこれに国栖魚の候ふ、是を供御に備へ申さうずるにて候ふ、「姥は余りの忝なさに、胞うちさわぎ摘み置ける、根芹洗ひて老が身も、心若菜をそろへつゝ供御にそなへ奉る、それよりしてぞ三吉野の、菜摘の川と申すなり、「祖父も色濃き紅葉を林間に焚き国栖川にて釣りたる鮎を焼き、同じく供御にそなへけり、「吉野の国栖といふ事も、此時よりの事とかや。

能画として画かる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)