公平

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きんぴら


画題

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解説

東洋画題綜覧

仮想の人物で、明暦万治の頃から享保年中にかけて桜井丹波少掾正信、及び其子和泉太夫の語つた浄瑠璃の中に最も多く現はれる、源頼光の四天王の一人たる坂田公時の子であるといふ。『公平誕生記』といふ浄瑠璃によれば、公時が鞍馬山の僧正ケ谷で邂逅した大蛇の化身の女との間に設けた子で、母の胎内にあること五年、体躯偉大で筋骨逞しく面色朱の如く頭髪逆立ち眼円く炯々人を射、口は裂けて耳もとに達し恰も鬼のやうである、公時喜んでこれを悪太郎と名け十二歳の時、鞍馬山に送り学ばしめたが、天性怜悧だが文事を喜ばず狼藉到らざるなく、遂に山を追はれて山中に住み狐狸を捕へて食ふ、又人を害して常陸に流されたが賊を平げて罪を赦され元服して坂田兵庫頭公平と名乗り、源家に仕へ怪力によつて屡々武功を立て、鬼神妖怪を平げたこと亦甚だ多い、其の行動を叙したものが公平浄瑠璃で、作者は岡清兵衛である。  (日本百科大辞典)

公平浄瑠璃の行はるゝや、当時の人々これを喜び、忽ち大当りを取つたので、公平を主人公とした物語草子類多く現はれた、これが公平本である、その挿絵は後に劇の荒事と深い交渉をもつに至つた。初期浮世絵に往々その影響を見る。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)