阿波鳴門

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あわのなると


画題

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解説

東洋画題綜覧

兵庫県の淡路島と徳島県の大毛島との間の海峡で狭い海峡中巌礁多く大鳴門中瀬戸等に分れ、瀬戸内海と紀伊水道との水面に水準の差を生ずるので潮流が凄まじい勢ひで進み渦をなし鳴り響く、古来難所として有名である。

阿波国、東西廿二里一町、南北廿六里、鳴戸日本一の海上大難所なり、淡路より阿波へ三里、舟渡しなり、東南風には出舟ならず、西北の風に出帆す、此所の潮、差引の時分は、大井川を流るゝ如し、差詰めの時は、岩も隠れ、潮も流れず、海上静かなり、諸国の渡海有り、潮差引の時は、山の如くなる大波打ちかけ、所々に立つ岩有りて、この巌に波あたり、すさまじく見ゆる、その中にも鯛の釣舟あり、鳴戸鯛と云ふて、美味にして名物なり、三里切戸鳴戸の内に島三つあり飛島、あま島、生子宿島なり、鳴戸の深さ二百尋有りと云ふ、鳴戸より船に乗り上る所は撫谷といふ所なり、淡路阿波の国境なり、此所に順風並に船吟味の関所あり、舟の上り場を撫谷の岡島といふ、古跡なり、里の海大浜の松、此の所にて兼好法師の歌に

世の中を渡りくらべて今ぞ知るあはの鳴戸に浪風もなし  (諸国採薬記)

阿波の鳴門を画けるものでは、一立斎広重に三枚続の傑作があり、現代では川端竜子の『鳴門』(青竜社展出品)前田荻邨『鳴門海峡』(第九回帝展出品)がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)