雪山童子

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せつざんどうじ


画題

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解説

東洋画題綜覧

雪山童子とは、釈迦牟尼仏過去において、雪山に苦行せられた時の名である、童子雪山に於て『諸行無常、是生滅法』の二句を聞いた時、更にその後の二句、即ち『生滅々已、寂滅為楽』の半偈を聞かんが為めに、羅刹鬼の口中に身を投じて供養せんとした、童子の至誠に感じた羅刹鬼はために之を聞かせたことが『南本涅槃経』に出てゐる、今その経文の梗概を記すと、『仏曰く我過去を念ずるに婆羅門となりて雪山の中に在り、帝釈羅刹の像となりて「諸行無常、是生滅法」といへる半偈を説く、童子四句を具足したる全偈を聞かんことを乞ふ、羅刹のいふ、我今飢に逼られて説くこと能はず、実に聞かんと欲せば食を与へよ、我食するところは唯人の暖肉なり、飲むところは唯人の熱血なり、菩薩のいふ、具足して説かば吾身を奉施供養せん、羅刹のいふ、汝たゞ八字のための故に所愛の身を棄てんこと、誰れか信ずべき、答へていふ、梵釈、四王、諸仏、菩薩、我が為めに証したまへと、羅刹乃ち「生滅々已、寂滅為楽」と説く、菩薩若しくは樹若しくは石にこの偈を書写し畢りて高樹に上り、身を投じていまだ地に至らざる頃、空中に種々の声を出して讃歎し羅刹帝釈の身に還復し、菩薩を接取して平地に安置し、頂礼して去る』とある。  (仏教辞林)

釈迦牟尼と羅刹鬼との問答場面は、また好個の画材である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)