藤原常嗣

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ふじわらの つねつぐ


画題

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解説

前賢故実

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正三位葛野麻呂の七男。参議左大辨にまで累進した。聡明且つ機敏な性格を持ち、仕事をこなす才能があった。博文で記憶力もよく、威厳のある容貌が称えられていた。若くして大学に入り、史書や漢籍の諸書に精通し、文章に限らず隷書にも長けていた。父に続けて遣唐使を務め、世に並ぶものがまれであった。承和七年薨去、享年四十五歳。

秋の日に叡山を登り最澄上人を訪ねる

城東一岑聳(都の東に一つの山が聳えており) 独負叡山名(叡山という唯一無二の名前を持っている) 貝葉上方界(釈迦が貝葉に法界の説を残し) 焚香鷲嶺城(霊鷲山で仏教を広めた) 甑飡藜藿熟(甑で蒸して食べる野草は軟らかく) 臼飰練砂成(臼でついてから作った飯は人間の命を繋いでいる) 軽梵窓中曙(経を唱える声が静で、窓が曙を告げ) 疏鐘枕上清(まばらな梵鐘の音の中で気持ちよく目覚めた) 桐蕉秋露色(桐や芭蕉に秋の露が宿り) 鷄犬冷雲聲(冷たい雲の下で鶏や犬の吠え声が聞えてくる) 高陽丹丘地(仙人が住むような高くて日当りのよいところで) 方知南嶽晴(はじめて南嶽の晴れを知った)

(『前賢故実』)